はじめに
こんにちは、Go界のカール・ライナーです。2013年の春から数えて4回目のGo Conferenceですが、今回はこれまでのスケジュールと異なり、午前中のキーノート2本をはじめ、初めて1日通してプレゼンを行う本気のカンファレンススタイルとなりました。
TL;DR
何より僕自身が一番楽しめましたし、運営してくださった方々、また一緒に盛り上げてくれたコミュニティのみなさん、ありがとうございました。また次のGoConが開催されることを楽しみにしています。
TLとプレゼンテーションまとめ
スライドへのリンクがないものは公開され次第追って追加します。
TL
Go Conference 2014 autumn - Togetterまとめ
キーノート
- Rob Pike
- Goに入ってはGoに従え (鵜飼さん)
プレゼンテーション
- App Engine for Golang Performance (@sinmetal)
- Why my Go program is slow? (@methane)
- Golang @ISUCON (@y_matsuwitter)
- mackerel-agent 徹底解説 (@songmu)
- Golang JP Community (@qt_luigi)
- @ironzeb
- NSQ-Centric Architecture (@grose)
- Hacking Go Compiler Internals (@moriyoshit)
Lightning Talk
Rob Pikeをお呼びすることになった経緯とか
今回、僕は個人としての立場と所属する会社での立場を明確にするために、本カンファレンスの運営を@tenntennや@jxck_を始めとするこれまで運営をこれまで支えてくれてきたコミュニティの方々にお願いし、僕はコミュニティをサポートする立場に徹しました。 *1
これまでなんとなく半年ごとの開催をしてきましたが、今回の秋開催を期待する声を9月頃を境に次第にいただくようになりました。ただ上記のような考えがありどうしようと迷っていたのですが、 GoCart に一緒に行ったみなさんが意欲的に手を挙げてくださったので、僕はキーノートスピーカーの依頼にとどまり、一歩下がったところで支援する形にさせてもらいました。
折角ここまで盛り上がっているので、ダメ元でGoの父であるRob Pikeにメールを送ったところ、「日程的に厳しいかもしれないけれど*2出来る限り参加したい」とおっしゃってくださり、過去のGoConでキーノートをしてくれたAndrew (@enneff) やBrad (@bradfitz) からの後押しもあってキーノートをしてくださる運びになりました。Robが日本に来るのは10年ぶりということで、本当に貴重な機会となりました。これも過去のGoConがキーノートスピーカーにとっても有意義であったということの証拠だと思います。*3
また、折角日本での開催だからということで、おそらく日本でGoでの開発の知見を最も持っているであろう鵜飼さんが快くキーノートを引き受けてくださったのも大きかったです。まったく事前の打ち合わせなどなかったにもかかわらず、お二人のキーノートが「Goらしく書くことにおいて単純さがいかに大事か」という話に収束していたのは、納得の行く結果でした。
運営のみなさまお疲れ様でした
Robの来日が決まったのが10月末なので、開催まで1ヶ月の時点で会場探し始めもろもろの準備を始めることになりました。その意味では会場提供や当日運営の申し出をしてくださった @deeeet さんはじめとする楽天の方々には本当にお世話になりました。またイベントのTシャツを作ってくださった @nuki_pon さん、毎回運営を手伝ってくださっている @manji0112 さん、GoCartで話が出てから関わってくれた @ryusen33 さんと @zoncoen さん、直近1ヶ月にnodeのイベントとHTTP2のイベントを抱えていた @jxck_ さん、そしてオリジナルステッカーやTシャツのデザインの元になるGopherイラストやメインで頑張ってくれた @tenntenn さんは本当にお疲れ様でした。
とても楽しかったです
TLを追っていても参加した皆さんが楽しんでいたのが伝わってきましたし、なによりRob本人が非常に楽しんでくださっていたのが印象的でした。Robは日本語がほとんどわからないのですが、Google翻訳を駆使してTLを読みながら、会場内外含めた #gocon の盛り上がりを感じ、ときにおもしろいツイートを見かけては子供のような無邪気な表情で笑っていたのが何よりの証拠でしょう。(一日中椅子に座っていたので「おしりが痛い」旨のツイートがたまにあったのですが、それが "Ass hurts" のように翻訳されていて、それを見る度に爆笑していました)
また運営を手伝ってくださった方向けにTシャツを用意していったのですが、懇親会後にはお店の前でジャンケン大会での争奪戦となり、Rob Pike本人がジャンケンを盛り上げてくださっていました。
運営コストに関して
ちゃんと書き残すことが少ないので、一応僕の考えだけここに書いておきます。今回GoConではライブ配信も通訳もありませんでした。理由は単純で運営が大変になるのと金がないからです。僕は過去にYouTubeのライブ配信の担当をしていたので安定してライブ配信を行うことの大変さはわかっていました。*4なので、少人数運営*5では賄えないと判断しました。
また今回も前回までのGoConと変わらず、英語でのセッションがそれなりにあったものの、通訳は入れませんでした。理由は金がかかるからとめんどくさいからです。同時通訳は想像しているよりもずっと高いものです。技術系の単語を理解しつつ同時通訳ができる通訳者を雇うだけでも大変ですし、同時通訳をするとなると専用の設備を入れなければなりません。有償のカンファレンスならいざしらず、無償でボランティアベースで行っているイベントではまず無理です。また英語がわかる参加者がボランティアベースで逐次通訳すれば良いだろうと思う人がいるかもしれませんが、逐次通訳を行うと単純にプレゼンテーションの時間が半減します。また通訳者は非常に疲れます。
これらを踏まえて、上記のようなリクエストを実現するためには人的・金銭的なサポートが必要になります。遠方の方や抽選に漏れた方への救済などはなるべくしたいとは思いましたが、そもそも運営する側が継続不能なコストを被るとなっては本末転倒なので、もし上記を実現したいとなったら、ぜひ手を挙げてもらえたらと思います。
次回以降
次回がどうなるかは僕はわかりません。ただ、2年前に始めた時のGoConではGoをプロダクションで使っている人がまったくいない状態だったのが、今回はすでに実戦投入を終えてからの知見に関するプレゼンテーションが多く見られるようになり、Goのコミュニティそのものの成熟と盛り上がりを感じることができたので、これからもGoConという形にかぎらず盛り上がっていってほしいなあと感じています。もし「GoConの運営を盛り上げたい」という方がいらしたら、ぜひ手を挙げてください。一緒に楽しんでいきましょう。
*1:もちろん僕もコミュニティの人間だという思いは誰よりあると思いますが、公式に支援するという立場を取りたかったという意味で敢えて分けるような書き方をしています
*2:いまになればわかりますがGo 1.4のリリースとGitHubへの移行を含めた非常に過密なスケジュールの中講演することになる
*3:実際、Goの父であるというだけでなく、これまでのITの歴史に大きく貢献してきたRob Pikeには毎週3、4本の講演依頼が来るそうですが、ほとんどは普段の業務や生活との兼ね合いからお断りしているそうなので、GoConを有意義だと思っていてくださったようです。
*4:配信そのもののコストと発表に際しての手続きの有無の確認などは想像しているよりもかかります