はじめに
この記事は pyspaアドベントカレンダーの17日目の記事で、技術とはまったく関係のない話です。約2年前に普通二輪免許を取り、その直後に大型二輪免許を取得しました。そして今年の4月に大型二輪の CB650R を購入したのですが、なぜバイクの免許を取って、なぜCB650Rを買ったのか、という話を書きます。
学生の頃の話
自分の母親が心配性な部分もあり、小さな頃から「バイクは二輪だから転んで危ない。自動車は四輪だから転ばないから安全」という「理屈はわかるが、それなら自転車に乗らせないほうが良いのでは?」という理論で高校のころに原付の免許を取らせてくれませんでした(そもそも通っていた高校では原付の免許取得は特例でないと取得できない校則があったので、手続きが面倒だからだったということもあるとは思う)。
で、時は流れて自分も大学生になり、友人にはちらほらバイクの免許を取り、中型バイクを購入してツーリングで旅行をしたり、夜に友人同士で自由に家を行き来するような人もでてきました。それを見て自分は「うらやましいなー、でもバイク怖いし、維持も金かかるしなあ」と思いながら過ごしていました。また当時は自分も無限の体力があったので、自由に移動する必要があるときは15km以内であれば自転車でどこでも行っていて、「まあこれでいいか」となんとなく自分に言い聞かせていました。東京に住んでいたこともあり、自転車+電車(たまにバス)で十分便利に過ごせていたこともこれに影響しているでしょう。
大学院に入ると、システム開発の仕事で大学院生の割にはバイトというよりはいささか多めの給料をもらえるようになり、生活費を賄いつつスコットのカジュアルなロードバイクを買いました。これでより一層自転車で移動するのが楽になり、どこでも自転車に乗っていました。しかし、研究室の同期や後輩の何人かがSR400やらD-TRACKERやらCB250やらに乗って、いろんなところに自由に行ってるのを見てやはり「バイクいいなー」と思っていました。
その後輩の中でSR400に乗っていた小野くんは、たまにヘルメットを貸してくれて、自分を後ろに乗せて日帰り温泉まで連れてってくれたりして、それが自分にとって初めてのバイクの体験でした。自転車とはまったく違うあの加速や鼓動感、その躍動感は強烈に覚えていて「バイクすごいなー」と感動をしたのを覚えています。SR400は単気筒のバイクなので、余計にそう思ったのかもしれません。
研究室では小野くんは油圧で人間の手に似せた動作をするロボットハンドの開発をずっとしてたんですが、ひょうきんでいながら真面目でコツコツと作業する彼を見て「本当にすごい根気だなあ」と感心したのを覚えています。小野くんは1学年下だったので、自分がM2のときに就職活動をしていて、結局ホンダに就職していました。最初社名を聞いたときは当時のホンダだったのでロボット部門*1かなと思ったけど、二輪部門と聞いて「まあそりゃあ小野くんだしな」と納得しました。
40歳にして普通二輪免許取得
自分は小野くんの就職活動を見届けた数カ月後に、大学院を修了して就職をしました。その後転職があったり、結婚をしたり、子供が生まれたりといった人生のイベントが数多くあったわけですが、自動車に乗ったり、自家用車を買ったりといったことはあったけれど、「バイクに乗る」という選択肢がまったく思い浮かばず、気がつけば40歳になっていました。
ある日、ふと昔のことを話している最中に、「そういえば大学生の頃、自分はバイクに乗りたいと思っていたんだ」という昔の感情を思い出し、「自分は結局バイクに乗ることがなく人生を終えてしまうのかな」などと考えたら、急にバイクに乗りたい気持ちが昂ってきて、すぐさま教習所に申込みに行きました。新しい家に引っ越すにあたり「原付二種に乗れたら家の周りを移動するのにも便利だしな」とハンターカブを買おうと思っていたことも後押しとなりました。
はじめは「とりあえずハンターカブに乗れればいいか」としか考えてなかったんですが、教習車のCB400 Super Fourに乗っているうちに「中型に乗りたい!」と思うようになってしまいました。免許自体はすんなり取れて、暫くの間はレンタルバイクでいろんなバイクをレンタルして乗っていました。ひとまず「死ぬまでにバイクを運転できるようになる」はクリアできて良かったんですが、一度知ってしまった楽しみは抑えられず、ハンターカブではなく400ccくらいのバイクを所有したくなってしまいました。
大型二輪免許も取得
いざバイクを買おうと思って調べてみると、いま中型で新車のラインナップを見ると欲しいバイクが全然ない!400ccで免許の区切りがある国は少なく、世界的な需要に合わせてバイクメーカー各社がミドルクラス(500cc〜750ccくらい)に力を入れているため、400cc前後に選択肢が全然ない。自分は丸目のネイキッドが欲しいのに、ホンダのGB350は90km/hくらいで謎のリミットがかかって全然高速走行できないし、カワサキのZ400はなんか尖ってる、ヤマハのMT-03もヘッドライトがシュッとしてる、スズキはそもそも400ccネイキッドを出してない、ということで国内メーカーは全滅でした。外車に乗るか?とも考えて、トライアンフのScrambler 400 Xとかもどうかなと思ったんですが、どうせなら制約を取っ払ってしまったほうが良いと思い大型二輪の免許を取ることにして、数カ月後には無事に取得できました。
大型二輪免許を取ると決意し始めた頃から、扱いやすさや自分の性格*2から「乗るならミドルクラスが良いだろう」と勝手に思っていたのと、教習所で慣れ親しんだホンダのCBの4気筒シリーズを踏襲したきれいなエキパイ、その他タンクや丸目ヘッドライトなどの造形からCB650Rがほしいなあと思うようになりました。
(こちらの記事より画像引用)
するとおあつらえ向きにCB650RにE-clutchという新しい機構が搭載されるというので、どうせならそれが搭載されているバージョンがいいなあと思うようになりました(実際レンタルバイクに乗っているときに渋滞でクラッチめんどくさいなと思うことがあった)。DCTなどと違ってE-Clutchを切れば普通のMT車として乗れるところに惹かれました。
小野くんがE-clutchを開発していた
そういうわけでCB650R E-clutch版に対する購入意欲が湧いていた2024年6月頃だったのですが、調査のためにE-clutch関連の記事を眺めていると、見慣れた顔が出ていて思わず「ええっ!?」と声を上げてしまいました。
研究室にいた小野くんがE-clutchの主任開発者としてホンダのオウンドメディアやバイク情報サイトでインタビューを受けてました。
読めば、E-clutchの開発に10年もかかったと言うじゃないですか。自分が社会人になってから同じプロダクトに10年も関わり続けたことがなく、業界全体としてもそういった人はごく少数である中、彼は10年間E-clutchの開発を続けて、結果としてホンダの新時代を担う新機構として大々的にリリースされたと。本当にすごいことなので、興奮覚めやらぬうちに小野くんに連絡を取りました。

納期遅延でタイミングを待つことに
やはり新機構なこともあって、なにかしら生産中に問題が発覚したりして当初は2024年6月発売予定だったものが9月に延期され、また生産も追いつかないことから結構納期が遅延していました。自分はつなぎにGB500TTという旧車にすでに乗っていたため、生産体制が戻るまで待てばいいか、と思い結局2025年2月に発注し、2025年4月に無事に納車されました。
それからは趣味のツーリングだけでなく、300km以内くらいの距離に1人でさっと移動する必要があるときにはE-clutchの機能を存分に使いながら長距離移動の足としても活躍してくれています。
(先日のJAWS FESTA in 金沢にもCB650Rで行ってきました)
これから
E-clutch発表当時はCB650R/CBR650Rだけの搭載でしたが、いまやRebel 250とその兄弟車CL250には搭載され、そして先日のEICMAでは更に5車種での搭載が発表されています。その中でXL750 トランザルプにも搭載されるという発表がありました。
バイクを買う計画を立てた当初はトランザルプも買いたいと思っていたのですが、小野くんのためにもE-clutchが付いたバイクが欲しいと思いCB650Rを選択しました。が、今回、トランザルプにも搭載されるということで早くも買い替えの機運が高まっています!小野くんにはこれからも良いバイクを作り続けてもらいたいです!頑張ってください!
(小野くん含めた研究室の後輩と1日中雨の中、朝7時から夜11時までツーリングした日の夕飯。この焼肉屋美味しかった。)