YAMAGUCHI::weblog

海水パンツとゴーグルで、巨万の富を築きました。カリブの怪物、フリーアルバイター瞳です。

「高熱隧道」読了

はじめに

こんにちは。Go界の日本電力です。年末に買った本を年末年始で読めなかったので、昨晩一気に読み終えました。

高熱隧道 (新潮文庫)

高熱隧道 (新潮文庫)

仙人谷ダムと黒部ダム

プロジェクトXで取り上げられてたのは、黒部ダム(通称「黒四ダム」、黒部第四発電所のためのダム)で、この高熱隧道の舞台になっている場所よりもさらに奥地に建設されています。黒部ダムの建設に関する逸話は小説をはじめ、映画、ドラマやドキュメンタリーの形で取り上げられているため、名前を知っている人も多いし、自分もプロジェクトXではじめてその壮絶な工事を知ったときには圧倒されたことを覚えています。工事での殉職者が171人にも及んだというのは、高校生の自分には衝撃的な内容でした。黒部ダムの難工事に関する物語としては「黒部の太陽」が有名でしょう。

黒部の太陽

黒部の太陽

しかし、その20年以上も前、まだ戦時中に同じ黒部川水系で、黒部ダムに負けずとも劣らない難工事が行われていたことをこの小説で初めて知りました。その内容が本当に壮絶で、真の意味でデスマーチと呼びたくなるものでした。

本当のデスマーチ

どういう意味でデスマーチだったのか、ある程度ネタバレにはなりますが書いてしまうと

  • そもそも工区にたどり着くまでの道が切り立った岩場を繰り抜いた程度のもので道幅がわずか60cm程度。資材の運搬を行うボッカが工事着工前にあっという間に5名転落死する。
  • 工区そのものが温泉湧出地帯のまっただ中を通過することが工事着工前の地質学者による調査では明らかになっていなかった。
  • 掘削する岩肌が開始30m地点ですでに摂氏65度を超え、掘り進めるにしたがってどんどん加熱、最高地点では摂氏166度に。
  • 掘削中の隧道内はサウナ状態であり人夫が切端で作業を行える時間がたった20分に。それですら、失神する人夫も数多くいた。
  • 人夫を冷やすために渓谷から汲み上げた水を人夫にかけるが、その水が隧道内にたまり人夫の膝まで、ひどい時には腹までたまるほどに。しかも岩肌に暖められて水温が摂氏45度まであがることも。
  • 岩肌がダイナマイトの発火温度を超えるほどになってしまい、設置と同時に爆発。担当していた人夫が死亡。

まだまだこれは序の口で、最終的にこの工事による殉職者が300人に迫るほどになるわけですが、それに至る過程が緻密な描写で淡々と語られていくのがこの小説の恐ろしいところです。多数の犠牲者を出しながらも工事が中止とならなかった背景には、工事の発注元の日本電力の社運をかけた工事だったことと、当時電力が国家的に求められていたこと、しかも天皇からも恩赦がでるほどであったため辞めるに辞められなかったという状況があるようでした。

吉村昭氏の綿密な調査により、工事中の隧道の様子が細かな部分まで伝わってくる、素晴らしい「記録小説」でした。小説に登場する人物や企業はフィクションではあるものの、実際にそれに対応する人物や企業がいるようです。実際に小説中の各事件での殉職者数は現実の事件と一致しています。

デスマーチ」という言葉を職業柄よく聞きますが、真の意味で「デスマーチ」の物語でした。

「果てなき渇望」読了

はじめに

こんにちは、Go界のドリアン・イエーツです。最近暇を見ては腕立て伏せをしているのですが、 @hiroki_niinuma の推薦図書を @shibukawa からプレゼントしてもらったので一気に読みきった。 このエントリは「果てなき渇望 Advent Calendar 2013」の2週目のエントリーです。まだアメリカ太平洋時間では土曜日なのでセーフです。

果てなき渇望―ボディビルに憑かれた人々 (草思社文庫)

果てなき渇望―ボディビルに憑かれた人々 (草思社文庫)

章立て

文庫371ページの割には章立てが少ない。インタビューとエッセイが3対7といったところ。

  • プロローグ 筋肉の呪縛
  • 第1章 コンテスト
  • 第2章 女子ビルダー
  • 第3章 禁止薬物
  • 終章 生涯をかけて

ボディビルディング」はスポーツか?

本書を読みながら常に考えていたことは「ボディビルディングはスポーツなのか」ということだった。本書の章立ては上にあるとおりだが、第1章、第2章、第3章と進むに連れて、ボディビルダーの倫理観の限界に触れる内容になっている。

本書の中でも触れているように、健康促進のための「広義のボディビルディング」に関しては私も大いに賛同する。社会人になってから運動する機会が減り、30歳を目前にしてようやく重い腰を上げ習慣的な運動を始めたわけだが、「習慣的な運動」という点においてはボディビルディングは優れている点が多いと思う。自分が目指す体型をきちんとイメージして、習慣的なトレーニングを行わなければ、目標が達成できないスポーツだからだ。

しかし「狭義のボディビルディング」はどうか。狭義のボディビルディングは、皆さんがご存知の通りのフィギュア形式の採点競技で、競技において勝つためには、筋肥大を行ったり、筋繊維を見せるための減量が必要となる。選手は理想の筋肉を作るために食事を含めたトレーニングを行っているわけだが、この一連のトレーニングは、果たして「スポーツ」の域に収まるものなのだろうか。

競技ボディビルディングの「男性」性

前提として本書は日本の競技ボディビルディング界に所属する複数の選手を中心として取材を行っている。日本の競技ボディビルディングと本場米国のそれの大きな違いはステロイドを始めとする薬物の使用度合いであり、日本においては非常に強い制限がかけられている。そもそもそれらの薬物を何のために摂取するのか。ここに競技ボディビルディングのスポーツ性が問われる。

競技ボディビルディングに於いて求められるものは、筋肥大とそれを綺麗に見せるための減量だ。(バルク、カット、ディフィニションという単語が用いられる)そしてまず必要となるのが筋肥大である。この筋肥大には男性ホルモンが大いに関係し、減量に関しては女性ホルモンが大いに関係する。 元来、筋肥大を促すテストステロンは女性にはあまり分泌されない。そもそもが競技自体が「男性」のそれなのだ。さらに筋肉を美しく見せるための減量も女性には不利だ。女性は生存のために元々が脂肪が付きやすく、かつ落ちにくくなっている。第2章にも出てくる女性ビルダーは「生理が止まるほどの減量を行ってから本当の減量が始まる」と述べている。これも明らかに男性性が強い側面である。

第1章、第2章だけを読んだ感想だけであれば、女性にとっては決して良いとは思えないが、競技ボディビルディングはある意味最高の男性像を追求するスポーツだととも言えるであろう。しかし、第3章でその認識を打ち砕かれる。

スポーツに求めるもの

なるほど確かに男性に向いたスポーツであることは確かであり、本書にも何度も登場する表現である「ギリシャ彫刻のような」肉体を得ることは男性にとっては理想に思える。しかし、現在の「競技ボディビルディング」が果たしてその「理想の男性」を目指しているのだろうか。第3章がその闇を描いている。

第3章では薬物規制が厳しくプロ制度がない日本のボディビルディング界を飛び出し、本場米国でプロボディビルダーを目指すある選手を追う。その選手は筋肥大のために複数の薬物を用いているわけだが、この危険な行為も彼は「バスケットボールと同じでバレなければファールではない」と語る。私には、もはや理想の男性の姿はそこにはなく、より大きな筋肉を果てなく求める、筋肉ジャンキーに映った。

私達がスポーツに求めるものはなにか。少なくとも私は、自然な食事のみを行ってトレーニングをし、人間が出せる最高の性能を発揮することである。自然な食事の定義は難しい。サプリメント類などは決して自然な形ではない。しかしながら、栄養素として食物から摂取できるため、ここでは自然な食事の中に含めても良いと考えている。一方で本場米国での競技ボディビルディングはその基準からは外れている。本書内でも一時期日本のように薬物使用の制限を厳しくしたことがあったが、おかげで選手のサイズがダウンし、客足が遠のいたために、基準を戻した、という記述があった。 私がスポーツに求める基準を敷いている日本の競技ボディビルディングは良いと思うが、世界的な基準が統一されていないために、「スポーツとして」日本選手が勝てないという悲しい現実があった。

ボディビルディングは自己破壊的アート

本書全体を通じて、「もはや競技ボディビルディングはスポーツではなく自己破壊的なアート活動」であるという感想を得た。決して自己の生命にとって安全ではない薬物を摂取してまで自らの肉体を理想の形に作り上げる行為は、ドラッグによる幻覚作用の中にアーティシズムを求めるアーティストのような印象を受ける。

終章で健康維持のためにボディビルディングを行っているという、シニアボディビルダーの話が描かれている。この章は、作者が競技ボディビルディングがもう一度「スポーツ」に回帰することを願って書いたものなのかもしれないと思いながら、本書を読み終えた。

「The Non-Designer's Design Book」はエンジニア必読の書籍だった

はじめに

こんにちは、Python界の情弱です。もうかれこれ5年くらい「僕にウェブデザインのセンスがあったら、いやせめてデザインのセンスがあったらどんなによかったことだろう」と思っていたわけですが、半ば諦めていました。しかし先日同僚の@kotarokパイセンに勧められるがままに「ノンデザイナーズ・デザインブック」を読んだら、これが素晴らしい書籍で、もう一度僕にやれば出来るかもと思わせてくれたわけです。

ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]

ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]

本書が良いのは、多くのデザイン例があり、それも原則の適用後だけではなく、その前後でどれだけデザインが変化するかを目にすることが出来るところ。 特に第3版はフルカラーなのですが、2008年以前に読んだ人、あるいは第2版までしか読んでない人も絶対に第3版をもう一度読むべきだと思いました。やはりカラーに関する記述はカラーの書籍で読むべきでしょう。

感想

文法が違っていた瞬間に動かなくなるプログラムとは違って、デザインというのは、ある程度雰囲気でそれっぽいことが出来てしまい、逆に何が良いデザインで何が悪いデザインなのか、という問題をなあなあで過ごしてしまいがちです。少なくとも僕はそうでした。 また同時に、「良いデザイン」とされているものは「良いセンス」という、感性に依存するものであるとも勘違いしていました。

しかし本書を読んで一番に実感することは「デザインはある程度までは技術である」ということ。本書は本当に少ない原則に基づいて、印刷物やウェブを綺麗にデザインする「考え方」を身につける本でした。この本を読み終えてから、自分なりに「なぜ良く見えるのか」「なぜ違和感を感じるのか」を言語化するための理論が身についたことを実感します。現に今は、これまでと違って、あらゆる印刷物やウェブページが材料となり、自分なりにそれらの良い点、改善したい点を挙げられるようになりました。

デザイナーと雰囲気ではなく「ひとりよがりではない自分の理論を持って」ウェブのレイアウトやデザインについて話をしたいと感じるエンジニアは多いのではないかと思いますが、そのための書籍としては、まさに絶好の一冊ではないかと思います。

推薦してくれた@kotarokも言っていましたが、この程度の内容は義務教育で触れておくべきだと心から思いました。

読書メモ

大原則

本書は「協調」と「強調」こそがデザインの大原則であるということを首尾一貫して主張していて、それらを様々な視点から取り上げている。この大原則を言語化するための4つの視点が以下。

近接

関連が近いものは近づけ、関連が無いものは離す。重要なのは中途半端な空白を作らずに、近づけるか離すか、きちんとした意識を持つこと。行き場のない空白は悪。

整列

アラインメントは統一する。中央揃えは整列の線が弱いため、できるだけ左揃え/右揃えを使う。整列をすることで、近接していなくとも一体感を得ることが出来る。(例: レポートのタイトルと氏名欄)

反復

区切りや改ページなどがあっても、近接/整列の方法が視覚的に一致していれば、人間はそこに関連性を見出す。見出しのフォント、罫線のパターン、ロゴなどを統一することで、異なる場所でそれを見た時に統一感を得ることが出来る。

コントラスト

中途半端な違いはデザインの衝突として受け止められ、違和感を覚えさせる。意味を切り離す、注意を引く、などの好意的な差異は、意図的に大きく違いを付けること。

カラー

4つの大原則はほとんどがレイアウトに関する話だったが、カラーも同様の原則を当てはめることができる。ただしカラーに関しては上記原則に当てはめるための材料がある。

カラーホイールによる配色パターン

原色である赤、黄、青を120度毎に置き、さらにその2次色である緑、紫、橙を各々の中間に置く。この6色の中間にあるのが3次色で、これらの12色でカラーホイールが完成する。

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カラーホイールを使って色を選ぶ際は次のパターンを使うと良い

  • 補色:カラーホイールで向かい合わせ同士の色2色
  • トライアド:120度の位置にある3色
  • スプリット・コンプリメント・トライアド:1つの色とその補色の両側2色の計3色

シェードとチント

カラーホイールに乗っている色をヒュー(純色)と呼び、それに黒が加わるとシェード、白が加わるとチントと呼ぶ。カラーホイールによる配色パターンに加え、シェードとチントを用いることで同じ配色パターンにおいてもバリエーションが生まれる。

寒色と暖色

寒色は青を含むもの、暖色は赤や黄を含むものを指す。寒色は引っ込んだ印象に、暖色は飛び出た印象に受け取られるので、各々を適切な場所で使うべき。

活字

同じ文字でも書体一つで大きく印象が変わる。英文フォントでは次の6つの書体に分類出来る。

  • Oldstyle
    • 手書き文字を手本としていて、セリフ(ペン入れ角度)が斜めになっている。また曲線部の"thick/thin transition"は一番細い部分をつなげた直線(ストレス)が斜めになっているのも特徴。
  • Modern
    • 新し目なので、セリフは真横で細い、ストレスも垂直。
  • Slab serif
    • thick/thin transitionがほぼない。セリフも真横で太い。
  • Sans serif
    • 「セリフがない」という意味の如く、セリフがない。通常はthick/thin transitionはない。
  • Script
    • 伝統的なカリグラフィーの書体。
  • Decorative
    • 上記に属さない、おもしろ書体全般。

コントラスト

活字は大原則でいうコントラストを作るための方法と考える。コントラストを生むための性質は以下の6つ。

  • サイズ
    • 違いを付けるときははっきり付ける。14ptと16ptでは衝突となる。
  • 太さ
    • RegularとSemi Boldでは違いは生まれない。様々なウェイトがあるフォントを手元に用意しよう。
  • 構造
    • 書体を選ぶ。近い書体同士は衝突になる。ScriptとSans selif、DecorativeとModernなど違いを強調すること
    • 同じ書体でもRomanとItalicではやはり違う。大文字だけの場合と、大文字小文字混在でもやはり違う。
  • 方向
    • 長体、斜体など、文字の方向もコントラストとして捉えよう
    • 文字色ももちろん大事な要素。先の配色パターンを意識する。

今挙げた6つの活字におけるコントラストを生む性質のうち2つ以上を組み合わせることで、強いコントラストを作ると良い。

追記 (2013.03.28 00:00)

@kotarok先輩にエントリを書きましたと報告したら、次のスライドを紹介してくれました。前半の内容がまとまった素晴らしいスライドです!

「知らないと恥をかく世界の大問題」読了

はじめに

ここ最近、@shibukawa からもらった裁断機と、半年ちょい前に買ったScanSnap S1300をフル稼働させて家にある本を端から自炊しては捨てるという作業をしていました。その作業中に積ん読だった中で読みたいなと思った本を通勤時間を利用して読み始めたので、これから少しずつメモ兼感想文みたいなものを書き残しておこうと思います。

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)

前提

私が持っている本が第25刷で2010年9月1日発行、第1刷が2009年11月25日発行です。というわけで、内容自体は主に2008年後半に起きたリーマンショック、アメリカの大統領交代、日本の政権交代が原因となって起きている/起こるであろう変化を述べたものとなっています。

レバレッジメモ

  • 世界の勢力図を見る上でのキーワード
    • 近年は新興国ほ発展に関連して資源国が力を増してきている。資源を活かすシステムがある国が強い。
    • リーマンショック以後、金融においてパワーバランスが変化。G7→G20。中国・イスラム諸国の台頭。
    • 「宗教」「民族」「資源」の3つの対立構造を見る
  • アメリカの凋落
  • 次世代の覇権国家
    • BRICs, VISTA, 中東
      • 新興国の発展により資源高。ロシア、中東は原油高が経済を牽引。中東は金融国への変貌を目指す。
      • 中国は共産党一党独裁により工業国として急激な発展。
      • インドはカーストに依存しないITにより発展。ただし民主主義なのでスピードは若干遅いものの、人材のポテンシャルが大きい。
    • EU(特にフランス)もイスラム教穏健派が多い北アフリカの安い労働力と豊富な資源を利用して再発展を目論む
  • 世界が抱える問題
    • 資源が投機の対象となった
    • 基軸通貨としての米ドルの限界
  • 世界の衝突
  • 日本の問題点
    • 年金問題は「100年安心プラン」を発表したものの、そもそも出生率1.3人で計算してるため、すでに破綻している。制度設計を早くしないと終わる。
    • 介護保険制度も介護費用の算定基準を下げたため介護報酬と掛金との釣り合いがとれてない。
    • 教育問題はフィンランドを模範にし現場にカリキュラム作成権限と教育に専念する環境を与えるべきではないか。
    • 郵政民営化も財政投融資への切り込みや民間サービスとの競争によるサービス向上という点では評価できる。
    • 地方分権は地方に人材を輩出し、天下り費用を削減する施策となるのではないか
    • 減反政策を廃止し収入保護政策をすることで食料自給率が上がる
    • 確定申告を個人にさせることで税金への意識を高める

感想

経済に関して言えば、リーマンショックで値を落とした後、2009年以降は右肩上がりで*1、いまは2007年の水準まで戻している。本書の内容と照らし合わせると、中国元*2ルーブル*3などは2010年後半から対円で高くなる傾向で、ドルやユーロが対円で安くなる傾向*4であることから見て、ここ1年半は資源国、新興工業国が経済力を増しつづけているように見える。
また金の価格*5が4300円/gのラインを基準に上下しているところを見ると、単純にこれだけのデータから見て判断すると円を元手に*6原油への投機が行われているように映る。
私は経済に関しては全くもって素人だけれど、本書を読んでから改めて様々なデータを見て諸々推測すると非常に面白い。こういったきっかけになる良書だと思った。

*1:http://ecodb.net/pcp/imf_usd_poilwti.html

*2:http://www.brics-jp.com/china/gen_late.html

*3:http://www.brics-jp.com/russian/rubul_late.html

*4:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5070.html

*5:http://ecodb.net/other/metal_gold.html

*6:http://kakaku.com/gaikadepo/hikaku.html

「ブラック・マシン・ミュージック」読了

はじめに

最近色々とゴタゴタしてたら全然ブログ書いてなかったのでまた書き始めることにしました。まあたまには人生の中でそういう時期があってもいいかと思っています。さて、いまこのブログを書いているちょっと前に、僕はDJデビューしたわけですが、それに先立って是非読むべきと薦められたのがこの本でした。
今まで自分はなんとなーく、ハウスやテクノと言っても雑誌やインターネット、あるいはCDショップの店頭ポップで見かけるような*1ものをなんとなく聞いていたんですが、ハウスとテクノの違いも知らないし、そもそも歴史とか全然知らなかったわけです。

ニューヨーク→シカゴ→デトロイト

著者の野田さんもあとがきに書いていますが、「ブラック・マシン・ミュージック」では主にシカゴ・ハウス、デトロイト・テクノ(これもメディアが宣伝のためにそう呼びはじめただけですが)にフォーカスしていて、ヨーロッパで起きたガバやドラムンベースなどのデトロイト以外でのテクノムーブメントに関しては触れていません。
大きな資本により影響を受けているヨーロッパあるいはニューヨークのシーンとは異なり、体制への批判と自分たちで創り上げるという意識の強さがシカゴやデトロイトにはあったことが強く伺えました。

ブラック・マシン・ミュージックというタイトル

ジャズという黒人文化から発展した音楽を聴くようになってしばらく経ちますが、ジャズ以外にもソウルやファンクを聴き始めた自分にとってそういった音楽こそがハウスあるいはテクノの原点であったことを知り、これまで聞いていたブラック・ミュージックとマシン・ミュージック、その2つがまさにつながりました。「ブラック・マシン・ミュージック」という、いままで自分の中に培ってきた音楽に対する捉え方というものに一本の柱ができた気がします。
これまではハウス、テクノとジャズ、ソウル、ファンクは全く異なった捉え方をし、違うジャンルとして異なった聞き方をしていたのですが、先日DJを初めてしたこともあり改めて一つ一つを「音楽」として捉えてみるとその根底には、この本の中で知った強い魂が込められていることを意識せずにはいられません。

箱とDJとクラブカルチャーの歴史

この本の中で出てきた数多くのクラブや数多くのDJ達。今まで全く知らずに過ごしてきたけれど、クラブにはそれら一つ一つにドラマがあり、DJ一人一人には歴史がある。この本ではこれまで断片的に散らばっていた多くの資料を丁寧にまとめ、編集し、「クラブカルチャーの歴史を語る」ということに焦点を当てています。この本の魅力はそういったもの一つ一つに対してのその歴史の導入部に触れ、読者を惹きつけるところにあるのではないかと思います。
それら一つ一つに関する書籍や音源は沢山あるわけで、いわばそれらへの入り口として非常に有意義な一冊であったと感じました。

これからDJをする中で

この本を聞いて、ハウスやテクノの中でも特にシカゴ・ハウス、デトロイト・テクノと呼ばれる音楽に魅力を感じました。全ては後追いの自分の中でのブームですが、それらの音楽を中心にかけていこうかと思います。

*1:なぜかテレビで影響されることはなかった。