はじめに
こんにちは、Go界のパルメザンチーズです。オライリー・ジャパンより次の本をいただきました。ありがとうございます。
- 作者: Mat Ryer,鵜飼文敏,牧野聡
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2016/01/22
- メディア: 大型本
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感想
Go言語そのものをまったく書いたことがない人がいきなり本書を読むのはいささか厳しいと思いますので、あらかじめ A Tour of Go などを終え、FizzBuzz程度でもいいので簡単なコマンドラインアプリを手元で書いてみてから読み始めるのが良いと思いました。
この本で一番読み応えがあったのは、監訳者の鵜飼さんによる日本語訳版オリジナルの書き下ろしである「付録B:Goらしいコードの書き方」でした。本書を読むにあたって、まず最初に読むべき章だと言っても過言ではありません。本文に出てきたソースコードをより洗練するためにどのような点に注意すればよいかが書かれている貴重な日本語資料です。また本文のいたるところで補足するべき箇所にきめ細かな監訳注があるのも、日本語訳版の素晴らしいところです。この監訳注によって本書の品質が大幅に向上していることは間違いありません。
内容そのものは、構造化された解説書というよりも、実践的なチュートリアル本というのが適切でしょう。Goの文法はわかったけれどどこから手をつけていいかわからないという方は、まずは自分が取り組んでみたいと思っているテーマに近い章を開き、本文にしたがって少しずつコードを書きながらGoでプログラムを書くことに慣れるというのがおすすめです。サードパーティーライブラリの紹介なども多かったので、他言語の経験があるけれどもGoは初めて、という方にも肩慣らし的に試すのには手っ取り早い本だと思います。
1-3章がWebSocketを使った簡単なチャットシステムのフロントエンドとバックエンド、4章で簡単なコマンドラインツール、5-6章では並列処理を使ったデータ解析サービスとそのREST API化、7章ではファイルバックアップシステムと、テーマは多岐にわかっていますので、つまみ食いでも始めやすいです。
Goはシステムプログラミング言語としてよく知られていますが、実際にどういう形で実現できるのか、本書で実感いただけるのではないかと思います。
読書メモ
ページ数は書籍版のものです。
p.21 監訳注2
デフォルトのパッケージ名は package
キーワードで指定されたものであり、ディレクトリ名ではないが、通常は揃えるという話。違ってくる場合としてよくあるのはパッケージをバージョンニングするとき。たとえば、Google Drive APIのクライアントライブラリはv1, v2, v3と3つのバージョンがある。これをimportするときは次のようになる。
import github.com/google/google-api-go-client/tree/master/drive/v3
p.81 監訳注1
パッケージ名に common
や lib
、 util
を使わないようにしようという話はgoblogに詳しく解説されている。
p.158 ノート
GorillzはGorillaのtypoだと思う。muxerも自分で書いてみるような問題もあれば良いのにと思った。
p.221 監訳注2
const
では指定しないかぎり型がないという話はgoblogに詳しく解説されている。