はじめに
こんにちは、AWSでデベロッパーアドボケイトをしているものです。去る2025年9月27日-28日の2日間、東京の住友不動産渋谷タワー(通称: Abema Towers)で開催されたGo Conferenceに、ワークショップとセッションで2日間登壇してきました。もう1週間経ってしまうことに驚きを隠せないでいるのですが、いつまでも余韻に浸るわけにもいかないので、その感想を忘れないうちに書き留めておこうと思います。
Go Conferenceと個人的な関わり
Go Conferenceの立ち上げ
Go Conferenceは今回で開催が19回目、初回開催の2013年4月から12年の長きに渡って開催されています。
何度か折に触れて紹介されていますが、Go Conferenceはこの開催の前に、お試しイベントで「Go Conference pre 2013 Winter」を企画していて、それが2013年1月に開催されたイベントでした。当時はGoogle App Engine for Goが2011年5月にアナウンスされたあと、GAE上で最も速いランタイムとして注目が増えていき、さらにGo 1.0が前年にリリースされ、Go 1.1がリリースされるかなあとか話しながら、毎日 golang-nuts や golang-dev のメーリングリストを見るというような日々でした。
初回と言えるGo Conference pre 2013 Winterでのワークショップの様子
初回のイベントも盛り上がり、その場にいた何人かと一緒にGoのカンファレンスをやりたいね、という話になりました。そして当時は愛知に住んでいて、地元でGoのイベントを開催していたtenntennが就職に伴い東京に来ると聞いたので、一緒にやりましょうという形で初回の企画を進めました。
この当時はちょうどPython 2系から3系への移行期(Language Moratoriumが終了する間近)でした。個人的にPythonicさをPythonよりも体現していると感じたGoに魅力を感じ、この言語が広く普及してほしいという思いもあり、カンファレンスを開催することにしたわけですが、当時はGoなんて本番環境で使ってる会社はほぼなく、登壇できるほど使っている人もいなかったので、毎回運営で登壇者を探してきては一本釣りで登壇依頼をする、というような状態でした。
当時はカンファレンスと言ってもまだ100人程度のイベントで、スポンサーも会場スポンサーを募るくらいの小規模なものでしたが、一方で新しい言語にありがちな多くの新規アップデートにより、セッション登壇を行う人間にとっては話題に事欠かない時期で、半年に1回開催していました。
そのうち、Goも普及してきて、Go 1.4がリリースされる頃になるとアーリーアダプターが言語の習得しやすさ、ビルドやデプロイの容易さ、実行時の安定性や速度などから利用者が増え、本番環境や当時からすると次世代のOSSでの利用も増えてきました*1。この頃になるといよいよconnpassでの参加登録も毎回抽選、参加者規模も200人を超えるようになってきました。
そして忘れもしない2014年11月のGo Conference 2014 autumnでは、Go言語の生みの親であり、当時のリードであったRob Pikeが登壇してくれることになりました。また最初期のGoの普及活動をしてくださっていた*2鵜飼さんも一緒に登壇してくれることとなり、非常に充実した会となりました。その辺の詳細は当時の記事に譲りますが、Robがイベント後の懇親会にも参加してくれて、青物横丁の普通の居酒屋の座敷で、雑にピッチャーから注がれるビールを飲みながら、 @jxck_ さんの質問に対してPCを奪って「こうやって書くんだよ」ってライブコーディング始めたりする、和やかで温かい会でした。
最後は青物横丁のコインパーキングで余ったTシャツのじゃんけん大会が開催さてたのも良い思い出です。
2次回後に青物横丁のコインパーキングで大人が数十人集まってじゃんけん大会
Go Conferenceの拡大
初期のGo Conferenceでは、Rob Pike以外にも、Andrew Gerrand、Brad Fitzpatrick、Francesc Campoyなど、当時のGoチームの面々が登壇しに来てくれました。半年に一回の開催だったので、Go teamにかなりの頻度で連絡しまくっていて、来てくれるだけでなく、ノベルティの手配なんかも協力してくれました。来てくれるのは嬉しいと思っていた反面、自分が主催するイベントに呼ぶのは当時の立場でいうと職権乱用にも近い状況だったので、流石にまずいなあと思い、この頃にtenntennに主催を引き継いでもらうことにしました。
またこの頃から規模が拡大し始めて、初めて会場スポンサー以外にもスポンサーをしていただいたり、墨田区の公共施設を借りて初めての有償開催(一般参加 500円)をしてみたりと、さまざまな試みが行われました。徐々に、運営に協力してくれる人が増えていき、ありがたいと思う反面、私とtenntennが常に心がけていたのは「スタッフが疲弊して次回の開催が行われなくならないよう、継続性を大事にしよう」ということでした。
回を重ねる中では、運営が本当に数人しかおらず、私一人でCfPからプロポーザルの選考の段取り、タイムテーブルなどをすべて決めつつスポンサーのやり取りを並行してすべて行わなければいけない場面などもありましたが、なんとかやりきって半年ごとの開催を継続していました。
しかし規模が大きくなるにつれて、少人数運営での半年ごとの開催には無理があるということになり、年次開催に切り替わりました。またありがたいことに多くの企業からスポンサーに関してのお問い合わせをいただき、現物支給でのスポンサー枠に限界が来ていたので、スポンサー費用を管理する一般社団法人であるGophers Japanを立ち上げることとなりました。
コロナ禍とGo Conferenceの継承
しばらくGophers JapanとGo Conferenceの運営の中心メンバーが同じ状況が続いていて、安定して年次開催が行われ、新型コロナ禍においてもオンライン開催で続けてこれました。新型コロナが5類感染症へと分類が変更となり、また世の中がオフライン開催へと移行し始めたときにも、Go Conferenceは保守的に2023年までオンライン開催を継続していました。しかしいよいよオフラインへ回帰していいのではないか、という段になったときに、新しい方に運営を引き継いでもらおうということになって、sivchariさんに引き継いでもらうことになりました。そしてGophers Japanのメンバーは一歩引いて、予算管理やGo Conference以外のGoコミュニティに関する支援などを行う活動にシフトしていきました。
歴代Go Conference主催者での記念写真
Go Conferenceは過去回とは一線を画すクオリティのイベントになっていて、運営内の各チームのみなさんも大変なこともありつつも、無事に開催を終えられたのは本当に嬉しい限りでした。
Go Conference 2025の感想
前置きが長くなりました。
今年は自分は去年よりもさらに一歩引いて、Gophers Japanとしての判断が必要なとき以外は意見することなく、運営のみなさんの応援だけしていました(裏ではGophers Japanとして予算や規約周りの稟議などをしていましたが、運営メンバーに関わることはほぼありませんでした)。プロポーザルの審査にも一切関わらず、純粋にCfPに応募しました。そして、たまたま運よくワークショップとセッションの両方で採択された*3ため、2日間ほぼ純粋に登壇者として参加させてもらいました*4。初めての2日間開催のGo Conferenceは、初めて一参加者の目線で見ることができ、本当に新鮮で楽しいものでした。
クロージングでのsivchariさんとmomiさん
今年は準備期間の途中でsivchariさんに代わってmomiさんが運営のリードをしていたのですが、金沢に住んでいる学生のmomiさんが素晴らしい統率力で運営を引っ張っていました。運営者Slackでしか拝見してなかったので、ぜひ現地でお会いしたいなとずっと思っていたのですが、初めて現地でお会いしてあらためてすごい方だなと感じ、運営にもこうした若い新しい方が入ってくれたことを本当にありがたく思うばかりでした。sivchariさんとmomiさんのお二人がクロージングで次回以降のGo Conferenceに向けての意気込みを話していたとき、上に書いてきたようなこれまでの思い出が一気に押し寄せてきて、胸がいっぱいになってしまいました。
おじさんは感極まってなぜか泣いてしまいました(ガチ #gocon
— Yoshi Yamaguchi (@ymotongpoo) 2025年9月28日
2日目撤収後に行われた有志での打ち上げで、さまざまな地域から運営に参加してくださった学生のみなさんが「Go Conferenceまた運営として関わりたいし、自分の地方のGoコミュニティを盛り上げたい」と言っていたのは、これまた胸が熱くなるものがありました*5。
最初は自分が好きで始めたものが、最初にたまたま同じようにコミュニティを作っていこうという気持ちを持った人と出会えて、たまたまGoという言語が普及したことに伴ってコミュニティが大きくなって、そしていまあらためてその場を参加者として見ることができるというのは、人生でもそうそうない幸せな経験でした。
おわりに
すでに来年のGo Conferenceの企画が動いているようです。このカンファレンスがこれからもGopherの楽しい集いの場であり続けるよう、心から願っています。