- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/10
- メディア: 文庫
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よく読む橋本治さんのコラム集。1901年〜2000年を1年ずつ数ページで語っています。もともとは一冊だったものを文庫化で分冊したものですが、ちょうど上巻・下巻でいわゆる「戦前」「戦後」と別れています。
橋本治のコラムやエッセイの文体というのは本によって程度の差はあれ、回りくどく一文が冗長という印象を受けます。しかしながら内容は、聞いてしまえば当たり前なんだけど、なんでそれを当たり前と気が付かなかったんだろう、と思わされるようなものが多く、毎回新しい視点を得られます。
そんな中でこのコラム集はページ数が限られているからか、いつもより冗長さがだいぶ抑えられ、すっきりとしながら気づきが多い、とても読み応えのある内容となっています。
普通の近代史の教科書と異なるのは「あくまで橋本治の視点で語ったものである」という点。第一次世界大戦のところまでは、19世紀的な王政の考え方がヨーロッパを支配していて、結局あちこちであるいざこざなんかも元をたどればただの身内(イギリス王室)の痴話げんかなんだよ、みたいな視点は読みやすいです。
また下巻の戦後に入ってくると橋本治さんが子供のころに受けた世間への印象を交えて、結局あの当時はいろいろ言っていたけれど、単にアメリカやソ連は面子を保ちたかっただけなんだよ、といかに二十世紀がおかしなことだらけで進んでいたのかということが淡々と語られています。
1901年から順に読んでもよし、適当に開いた年だけ読んでもよし、いろいろな読み方で楽しめる内容です。