- 作者: 田山花袋
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952/03
- メディア: 文庫
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「こころ」に続いて青空文庫読了第2弾。とうの昔に読み終えてからだいぶ時間が経ってしまった。田山花袋の「蒲団」を読み終えました。今回は純粋に感想。
女性像
作中では「新しい時代の女性はかくあるべき」という発言が何度か見られるのだけれど、やはり時代だけあって、女性が奔放に生きるには難しい時代だったんだなあと感じます。
ただそれは作中で芳子が監督という名目の下に規制を強いられた部分とは別で、もっと立ち振舞いとか、人間としての根源の部分の話。むしろ逆に下宿先に帰ってこないから困る、というような話はいつの時代もかわらんのだな、と妙な親近感を覚えた。
恋愛観
「こころ」の中では先生は結果として恋敵となってしまった友人を自殺に追い込んでしまったという自責の念から最後は自決をしてしまうわけだけれども、「蒲団」での先生=主人公はもうちょっと人間味がある。妻がある身でありながら上京してきた若い娘に惚れてしまうが、体裁があるから手を出すわけにもいかない、それといって娘が恋人と仲睦まじくするのは好かない、挙げ句娘を里に帰すことになって一人になった後、娘の持ち物を身にまとい泣く。
あまりにも情けないと感じるが、実際に自分が同じ立場になったとき、残念ながら同じような振る舞いをすることがあるかもしれない。そのような人間らしさを表現した田山花袋の心理描写が素晴らしい。
最近本を読んでいない。久々にまた読もうか。