YAMAGUCHI::weblog

海水パンツとゴーグルで、巨万の富を築きました。カリブの怪物、フリーアルバイター瞳です。

foobarのアンダーグローLEDの実装を左右対称に行ってみた

はじめに

こんにちは、Google Cloud Operations担当者です。Stackdriverという名前がドキュメントや変数名として出てきたら、歴史的経緯によるものだと理解してください。

最近このブログではキーボードの話しか書いてないので、仕事をしてないんじゃないかと思われていないか心配です。ちゃんとやってますよ。

さて先日foobarを作った後にアンダーグロー化しました。

ymotongpoo.hatenablog.com

このときは本家の実装にならって、メインのProMicroですべてのLEDを制御し、反対側はTRRSケーブルを通じてLEDの制御信号を送るように左右非対称の実装をしていました。(下の写真は本家より転載)

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それにともなって、QMKの設定も RGBLIGHT_SPLITRGBLED_SPLIT といったマクロの定義をしないなど、左右非対称であるがゆえの注意などもありました。しかし他のキーボード(たとえばHelix)では左右対称にLEDを実装していて、LEDの左右での同期はQMKで行っていたので、同じ理屈でfoobarも左右対称に実装してQMKで制御するようにしたらいいのではないか、と思ったのでやってみました。

実装した

というわけで、ちょうど積みキーボードになっていたもう1組のfoobarがあったのでそちらであらたに左右対称にLEDテープを実装しました。*1

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前回作成したfoobarでの実装も比較のために貼っておきます。

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前回の実装は左手側はProMicroからGND、VCC、DINの3本に加えてDOUTからTRRSへの1本の計4本の配線と、右手側がProMicroからGNDとVCCの2本に加えてTRRSからDINへの1本の計3本という配線であるのに対して、今回の実装は左右ともにProMicroからGND、VCC、DINの3本の配線となっています。TRRSジャックにつながる配線はありません。

QMKの変更

上の実装の場合は前回使わなかった左右分離式キーボードでのLEDの制御に関する RGBLED_SPLITRGBLIGHT_SPLIT のそれぞれのマクロを定義してビルドします。といっても前回からの差分は config.h

#define RGBLED_SPLIT {5, 5}
#define RGBLIGHT_SPLIT

としただけです。

動かしてみた

www.youtube.com

ちゃんと期待通り動きました。これで左右対称に実装した場合にもQMKで対応できることが確認できました。

参考

ymotongpoo.hatenablog.com

www.40percent.club

*1:正確には左右対称ではないけれど、両方同様にProMicroから3本配線したという意味でそう書いています

ロープロファイルピンソケットでProMicroのソケット化をした

はじめに

こんにちは、Google Cloud Operations担当者です。Stackdriverという名前は歴史になりました。

さて、最近はどのキーボードキットを見てもたいていProMicroはコンスルーを同梱していたり、その使用を推奨していますが、PCBのスルーホールのサイズによっては使えなかったり、あと地味に高い。

yushakobo.jp

で、ProMicroのソケット化で探してみると、ソケットは丸ピンのICソケットとかを使っていて、リードダイオードの切り取った足を使ってソケット化するというような記事を多く見かけます。

しかし、自分はどうもそのピンの強度に不安を覚えたため、それとは別の方法でソケット化できないかと思って秋月電子のサイトを眺めたりしていたのですが、そこで良さそうな部品を見かけました。ロープロファイルピンソケットです。

akizukidenshi.com

これに、ProMicro付属のピンヘッダを普通にはんだ付けしてしまうとスペーサーが2つになり、高さが出てしまうため、ピンヘッダからピンを引き抜いて使おうという魂胆です。

やってみた

まず、先のピンソケットは1x20なので、これを1x12のサイズに切り離します。ニッパーで簡単に切れます。

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次にProMicroに付属するピンヘッダからピンだけを抜き取ります。ラジオペンチで簡単に抜けます。

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ピンソケットを基板にはんだ付けするために、マスキングテープで固定します。

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はんだ付けしたら、そこにProMicroを載せて、上からピンを挿していきます。ピンを挿してから載せるのは至難の業になるので、先にProMicroをピンソケットに載せるのがポイントです。全部挿すと多少斜めに刺さったりしているものの、いい感じにはまります。あとは当たり前ですが、ProMicroの上下の向きには気をつけましょう。ただソケット化してるので片方だけなら間違えてもなんとかなりますね。

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はんだ付けしたら飛び出したピンをきれいにカットしていきます。

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見た目はかなり良い感じですね!高さも普通にピンヘッダを使って直接基板にはんだ付けしたときと変わりません。その後IC抜きなどを使って抜いてあげると....

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良い感じにソケット化出来ました!ピンも普通のピンヘッダのピンを使っているので強度的にも安心です。

実際に使ってみて

懸念していたのは、このロープロファイルピンソケットが何回抜き差しに耐えうるかという点です。抜き差ししすぎてだめになったら、結局キースイッチを全部外さないと取り外せなくなってしまいます。データシートにも何回まで可能といった数字は書いてありませんでした。

とりあえず5回程度抜き差しした状態では普通に問題なく導通しているようので、しばらく様子を見ようと思います。しょっちゅう抜き差しするものでも無いと思いますし、万が一のときのための保険としては十分機能しているかなと思います。

foobarをアンダーグロー化した

はじめに

こんにちは、Google Cloud Operations担当者です。Stackdriverという名前はもう忘れてください。先日foobarを作りましたが、そのときにはまだ発注していたテープLEDが届いていなかったのでアンダーグローの実装はしていませんでした。

ymotongpoo.hatenablog.com

やっとテープLEDが到着したのでアンダーグロー化しようと思います。

LEDのはんだ付け

www.40percent.club

配線が見られる写真やビルドログがあまり見つからなかったのでとりあえず本家の写真を参考に配線をしました。

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QMK Firmwareでの書き方によっては左右同じはんだ付けでいいのかもしれませんが、今回は本家のビルドログと同様にマスター側(左手)ですべて制御するような形にしました。

点灯しないのでデバッグ

全部配線を終えてファームウェアを焼いてみたものの、光らない。まずもう一度テスターでいろいろと導通チェックをしてみました。

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まず導通チェックですが、上の図で同じ色の丸同士のどこを確認してもブザーが鳴り、導通していることの確認が取れました。

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TRRSケーブルをつないで左手側のDOUTから右手側のDINまでTRRSケーブルを通じて導通していることも確認。導通は問題なさそうなので、今度は電圧を確認します。

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左手側を確認するとどうも電圧が取れていない。右手側を確認すると正しく電圧が出ている。さてこれはどうしたものかなあと考えていたのですが、LEDが壊れているのかどうかが確証が取れず、方法もわからなかったのでSMKIJの皆さんにまたもや相談。*1

原因

甘いはんだ付け

症状を共有するとa_p_u_r_oさんから早速次のようなアドバイスをいただきました。

左手側のLEDストリップのVCCがPro MicroのVCCと導通しているかもう一度確認したいです。

この部分は最初に導通を確認したはずなんだけれども、なにか変わっているのかもしれないので念の為導通確認。黒のプローブをProMicroのVCCのピンヘッダに、赤のプローブをテープLEDの始端のVCCのランドにつけると、ブザーが....鳴らない...。もう一度配線をよくよく見てみると、ビニル線のスルーホールへのはんだ付けが甘くなっていました。

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はんだの様子を見てはんだ付け時にビニル線の被覆の部分が当たっていてうまくハンダが乗らなかったのだと推測しました。最初に導通チェックしたときはたまたまうまく接触していたので鳴っただけでした。

ファームウェアでの関数の間違い

はんだ付けが無事に修正されると、左手側のテープLEDが点灯したのですが、右手側が引き続き点灯しません。しかしPCに接続した状態で再度右手のテープLEDのGNDとVCCの電圧を測ると4.66Vになっているし、中のWS2812B自体のDINとDOUTの部分の導通を見ても問題ないので、これはファームウェア側の問題と推測。しかしおかしな部分がどこか、勘所がわからないので見様見真似でいじっていると@mteiさんからアドバイスを頂けました。

修正点1: RGBLIGHT_SPLITやRGBLED_SPLITを使わない

これまで作ってきたキーボードでバックライト、アンダーグロー含めLED付けたのはHelixだけなんですが、Helixの場合左右で同じようにはんだ付けしていて、ファームウェア側で左右の基板にいくつずつLEDがあるかなどを制御してましたが、今回の配線ではマスター側でLED制御するようにしています。

そのためHelixを真似て書いていた RGBLIGHT_SPLITRGBLED_SPLIT があることで逆に制御ができなくなってしまいます。公式ドキュメントを確認するとちゃんと書いてありました。

RGBLIGHT_SPLIT: This option enables synchronization of the RGB Light modes between the controllers of the split keyboard. This is for keyboards that have RGB LEDs that are directly wired to the controller (that is, they are not using the "extra data" option on the TRRS cable).

RGBLED_SPLIT: This sets how many LEDs are directly connected to each controller. The first number is the left side, and the second number is the right side.

これらのオプションはTRRSケーブル経由でデータを送っていない場合でProMicroに直接LEDが配線されている場合に使う、と書いてありますね。完全にRTFM*2案件です。

修正点2: keyboard_post_init_user()内でrgblight_* 系の関数を呼ぶ

QMKのfoobarのデフォルトのkeymap.cをコピーしたら初期化系の関数が matrix_init_user() しか書かれていなかったので、雰囲気でそのままそこにLEDの初期化とアニメーションの設定を書いていました。

void matrix_init_user(void) {
    rgblight_enable_noeeprom();
    rgblight_mode_noeeprom(RGBLIGHT_MODE_RAINBOW_MOOD);
}

しかし公式ドキュメントによれば、これではなく keyboard_post_init_user を使うべきだそう。

These are the three main initialization functions, listed in the order that they're called.

  • keyboard_pre_init_* - Happens before most anything is started. Good for hardware setup that you want running very early.
  • matrix_init_* - Happens midway through the firmware's startup process. Hardware is initialized, but features may not be yet.
  • keyboard_post_init_* - Happens at the end of the firmware's startup process. This is where you'd want to put "customization" code, for the most part.

Note: For most people, the keyboard_post_init_user function is what you want to call. For instance, this is where you want to set up things for RGB Underglow.

他にもドキュメントを細かく見ると、直接は書いていないものの、ファームウェアの起動が終わった後にすべきようなことはすべて keyboard_post_init_user で行うべき、と書いてあります。LEDはまさにそうですね。したがって次のように書き換えました。

void keyboard_post_init_user(void) {
    rgblight_enable_noeeprom();
    rgblight_mode_noeeprom(RGBLIGHT_MODE_RAINBOW_MOOD);
}

void matrix_init_user(void) {

}

完成

以上の変更や修正を加えると無事にLEDが動作しました!

youtu.be

反省点

  • ビニル線をハンダ付けをする際は、被覆のビニルをしっかり剥がして余裕を持ってはんだ付けできる程度に中の線を出す
  • 導通確認は短い距離から増やして最大限まで長い距離まで複数回導通を見る。特にケーブルやジャンプしたハンダ付けに注意。
  • RTFM

おわりに

トラブルはあったものの、今回の実装でLEDに関してまた理解が深まったので、積みキーボードのもう1セットのfoobarやMinidox、また過去に作ったGherkinとLet's Splitに関してもアンダーグロー化したいと思います。

*1:相談する側から解決策を提示できる側に早く回れるようにしたいものです

*2:https://ja.wikipedia.org/wiki/RTFM

Helix 4行アクリルプレートを作った #Helix祭り

はじめに

こんにちは、StackdriverあらためGoogle Cloud Operations担当者です。先日Helixの5行ステンレスプレートを作りました。

ymotongpoo.hatenablog.com

この他に、foobarとLet's Splitも作りました。

ymotongpoo.hatenablog.com

ymotongpoo.hatenablog.com

これらは何度か触れている、発掘した積みキーボードの材料から作っているわけですが、進捗を整理すると

  1. Helix 5行のステンレスプレートのフルキットとKailh Low Profile白軸とキーキャップが必要個数分 → 完成
  2. Helix PCB 1セット(予備)→ これから
  3. foobarのPCBと上下プレート 2セット → 1つ完成
  4. MinidoxのPCB 1セット → 手つかず
  5. Let's Splitの作りかけ(はんだ付けミスで動かなくなったまま)→ 2つのうち1つ完成

7個中3個が完成しました。今日はこの2番に取り組みます。今回は以前作ったステンレスプレートのときと違って、自分で調達する必要があったものもあるので、それに関してもメモしておきます。

品名 個数 備考
PCB 1セット GBで購入
上下プレート 1セット 遊舎工房で購入
SMDダイオード 50個 GBで購入
OLED 2個 GBで購入
スプリングピンヘッダ 2個 GBで購入
ProMicro 2個 GBで購入
Kailh Low Profileスイッチ 50個 赤軸をGBで購入
Kailh Low Profile用キーキャップ 1セット GBで購入
LEDチップ (SK6812mini) 70個 予備込でGBで購入
タクトスイッチ 2個 秋月電子通商で購入
TRRSジャック 2個 秋月電子通商で購入
TRRSケーブル 1本 なんでもよい
microUSB-USB-Aケーブル 1本 なんでもよい
M2x5mmスペーサー 12個 西川電子部品で購入
M2x4mm ネジ 24個 西川電子部品で購入
ロープロファイルピンソケット 1個 OLED用に秋月電子通商で購入
1x4 ピンヘッダ 2個 家に余ってたものを使った

ビルドログ

これまでのビルドログと同様に、実装中の写真はこちらのGoogle Photosのアルバムで公開しています。

photos.app.goo.gl

バックライト用LED(SK6812mini)の表面実装以外はHelix 5行ステンレスプレートでやったことと変わらないので、流れは公式ビルドガイド先に作ったHelixのビルドログを参照のこと。

本記事では5行ステンレスプレート版では行わなかったバックライトLEDの表面実装で苦労したことなどを書きます。

SK6812miniのはんだ付けがとにかくきつい

これまで作ってきたキーボードではLEDはアンダーグロー用のテープLED(WS2812B)も含めてLEDの実装は一切行ってませんでした。*1さらにいうと、既製品も含めてLEDがついたキーボードを使ったことがありませんでした。そういう背景もあって今回のHelix 4行でバックライトLEDの実装をするというのはなにげに初めてで、LEDに起因するトラブルもそうですしLEDの制御をQMKで行うのも不慣れだったので少し手間取りました。

以下、起きたトラブルと対応を簡単にメモしておこうと思います。

テスターでの検証

なにはともあれテスターでの検証ができるようになれば不具合の原因が早く判断できるのでテスターの使い方を調べます。HelixではSK6812miniはLEDテープと同様のことが基板上で行われていて、すべてのLEDがつながっています。(下図はこちらのブログより転載)

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よく起こりがちな状況はあるLEDを境にそこから先のLEDが点灯しない、もしくは色や明るさがおかしくなる、という状況なので、その場合はその境になっているLED自体、もしくはその一つ前のLEDのはんだ付けに不備があることが多いです。(SK6812miniのデータシートを参照)

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隣り合うLED同士は前のLEDのDOUTと次のLEDのDINがつながっているので、その導通を確認するとはんだ付け不良が見つけられました。他にもLED自体がはんだ付け中に壊れてしまったりというのはVSSとVDDの抵抗値を見たりして確認できました。壊れてしまったものは粘っても仕方ないのですぐに新しいものに替えて解決しました。

アニメーションで確認すると不良箇所がわかりやすい

QMKでバックライトLEDをオンにしただけでは、デフォルトの赤色しか点灯しないので、LEDテスト用のファームウェアを焼くか、自分でアニメーションの設定(RGBLIGHT_EFFECT_RAINBOW_MOOD とか)をすると、接触不良のLEDがわかりやすかったです。

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上の写真は点灯しないLEDがなくなって喜んでたら、アニメーションを設定した途端にAの位置のLEDの接触不良がわかったときの図です。

ジャンプしたランドが導通しているか確認する

はんだ付けし直してきちんと導通しているかは先のテスターでの確認もそうですし、そのLEDのハンダ付け箇所単体で基板側のランドとLED側のランドにプローブを当てることでも確認できました。

使ってるうちに点かなくなったりする

これが本当にきつくて、一旦はちゃんと点灯することを確認して、いろいろ制御したりして使えていたのに、1日~3日くらいしたら点灯しなくなるみたいなことが作り終わってからもう3回くらいあって、「ハンダのジャンプで部品を固定するのとか冗談としか思えない!」とかブツブツ言いつつ、テスターでデバッグするのがちょっと楽しかったりもしました。

参照したブログにも紹介されていた、ジャンパ線で最後の点灯したLEDのDINと未点灯のDINをつないでみたり、点灯している任意のLEDのDOUTを未点灯になり始めたLEDより向こうのDINにつないでみたりといろいろしてみたのですが、これらは全然反応がなかったので、何回か試してやめました。

テスターで前後のLEDでDINとDOUTをつないでみたり、GNDやVCC同士をつないでみたりして導通確認は取れてるので、もはやLEDが壊れてるとしか思えないものは、時間ももったいないので新しいものに交換しました。

結果これを書いているいまは安定しているので良いのですが、またいつトラブルが起きるかわからないので、やはりチップLEDはYS-SK6812MINI-Eみたいにピンがでているものではんだ付けしたい....

とか書いてたらまた不安定なLEDがいくつか出てきた...

QMK FirmwareでのバックライトLEDの制御

これは別途エントリとしてまとめるので、まとめたらそのリンクを貼ります。

完成

というわけで紆余曲折ありましたが、無事にHelix 4行のアクリルプレート版が完成しました。

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これで家にあったHelixのGB時に買った2セットがともに完成しました。GB時は家と会社用に両方とも5行で使う予定で2セット買って、アクリルプレートは会社の工作室で切ればいいと思い買ってなかったのですが、いまとなっては40%をメインで使っているので5行用のアクリルプレートを買わなくて正解でした。

残る積みキーボードはfoobar 1セット、Minidox 1セット、Helixの作りかけ1セットです。次はまだ作ったことのないMinidoxを作ろうかな。

参照

www.sho-k.co.uk

本記事を書きながらデバッグをする上での調べ物をしていたら、上のブログを見て、そのサムネイルにもある「千住金属工業鉛フリー 低温やに入りはんだ エコソルダーLEO」が欲しくなりました。鉛フリーなのに融点が約140度なので、200度ではんだ付けしても余裕とのこと。ただ値段が一巻きで3700円とかなので、ちょっと腰が引ける...

marksard.github.io

kankodori-blog.com

*1:行うつもりが無いわけではなく、後付が可能なことと、AliExpressの配送時間が長すぎて後回しにしてきた

3年越しにLet's Splitを完成させた #レツプリ #letssplit

はじめに

こんにちは、StackdriverあらためGoogle Cloud Operations担当者です。

ここ最近、キーボードを作りまくってますが、そもそものきっかけはLet's Splitでした。しかも3年前に作ろうとして挫折したもの。

品名 個数 備考
PCB 1セット MEHKEEで購入
上下プレート 1セット アクリル板を買って自分でレーザーカットしてあった
スイッチングダイオード 50個 秋月電子で購入
ProMicro 2個
Cherry MX互換キースイッチ 50個 Gateron Clear
キーキャップ 1セット 適当に購入
タクトスイッチ 2個 秋月電子通商で購入
TRRSジャック 2個 マルツで購入
TRRSケーブル 1本 なんでもよい}
microUSB-USB-Aケーブル 1本 なんでもよい
M3x10mmスペーサー 8個 西川電子部品で購入
M3x8mm ネジ 16個 西川電子部品で購入

2017年末、Let's Splitを作ろうと試みる

2016年ころからErgoDox EZを使い続けていて、快適に使い続けていたのですが、筐体サイズの大きさとあまり頻度の高くないキーの多さに疑問を感じ始め、別の解決策はないかと探し始めたのが2017年頭でした。その頃にLet's Splitの自作の話をちらほらTwitterで見かけるようになり、自分も組んでみたいと思いはじめ、MEHKEEで購入したのでした。*1

そして材料を揃え学生時代の演習以来ぶりにはんだ付けをしました。

ここで「動いたぞ!!」とか書いてますが、動いてません。「動いた!!」と思ったら1列動かない列があったのでした。導通確認もせずに組み立てた結果ですが、その後テスターもろくに使わずに、そこで挫折し、そのまま箱にしまわれ、お蔵入りに...

2020年夏に発掘、再度挑戦

コロナ禍で在宅時間が増え、夜飲みに行くこともめっきりなくなった結果、できた時間で取り組んでみようと、再び封印されていた箱を取り出しました。Let's Splitの制作に挫折はしていたものの、来る日のためにHelixのGBにも参加し、foobarやMinidoxのPCBも用意されていました。これらに取り組む日がくるとは....

発掘する直前で別途購入したGherkinは途中失敗したものの、SMKIJの皆様のサポートもありなんとか復旧し、その経験もあってHelixやfoobarは滞りなく完成しました。2017年当時と違ったのは、家に電子工作用の工具が一通りあることでした。2017年当時は会社の工作室にあるもののみでやろうとしたため、ハンダも健康に配慮し無鉛はんだのみ、ハンダ吸い取り器なども同僚に借りたもの、などいろいろ制約の中でやっていましたが、いまはもう腹をくくって道具を全部そろえたので、道具を買い足すのにもまったく抵抗はありません。そのおかげでGherkinも復旧できました。

Gherkinを復旧したことで自信を取り戻し、やる気が復活したのでいよいよ途中で匙を投げていたLet's Splitに取り組むことにしました。

テスターで確認

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前回と違ってテスターをちゃんと使うようになったのでとにかくテスターで導通確認をしてみます。すると該当するキーが一列、ProMicroのつながっているはずのピンと結線されていません。Gherkinのときと違ってショートしているのではなく、導通していないのではんだ付けが怪しいんですが、ProMicroとピンヘッダは特に問題なさそう。

ProMicroを外して、再確認

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念の為ProMicroを外してから、ピンヘッダだけの状態でも同様になるか確認します。やはり同様の状況で、ProMicroの裏側に隠れていた部分もきちんとキースイッチのピンがきれいに切られていたので、怪しいのは基板上側のピンヘッダを付けてる側のランドのハンダ付け。しかしそれを確認するためにはキースイッチを全部はずす必要があります。

scrapbox.io

ここにあるトラブル例のように、やはり特定の列や行は大元のProMicroと基板の接触が不良とのことで、ますます基板上面が気になります。

キースイッチをすべて外してランドを確認

仕方なくすべてのキースイッチのハンダを取って、基板と上のプレートを外すと、3年ぶりに基板上面と対面しました。早速該当のピンのハンダを吸い取ってみると、ランドが剥げていました。それを見た瞬間に、3年前に作ったときにピンヘッダを基板の逆側につけてしまったので外した記憶が蘇ってきました。あのときにランドを剥いでしまったのか...

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ところで、このハンダ吸い取り器は本当に良かったのでめちゃくちゃオススメです。先日買った「はんだシュッ太郎」はコテ先の熱が高まりすぎるので基板上などには良かったのですが、ピンヘッダだとプラスチックの部分が溶けかけたりしてやばかったので、このハンダ吸い取り器を導入しました。

動画を見たら「やらせだろ?」って思ってましたが、気持ちいいくらいに吸えました。キースイッチ全部外すのもこれと、しつこいものはハンダ吸い取り線を追加で当てたらきれいに取れました。

再び相談

ランドが剥げていたので、代替手段でその先のシルクが結線している場所に通電させてあげればよいはずです。今回の場合は該当のピンは、本来導通が取れているはずのキースイッチのピンの部分のランドまでつながっていました。このピンからビニル線やエナメル線で直接つないであげればよいはず!しかし確証が持てなかったでSMKIJのdiscordで相談しました。

なるほど。もし(今持っている基板がv2と)同じであれば、想定されているように結線してあげれば直ると思います。試すだけなら半田付けせずともピンセットみたいな導体を使えるので、それでよさそうなら適当なワイヤを半田付けしてください。

すでに自分が基板を手に入れたときからLet's Splitの基板のバージョンも進んでいるので、そこから確認という感じだったんですが、@shelaさんにも結線について確認をしてもらって、上の提案をいただいたのでその方向性で修正することにしました。

キースイッチとProMicroのはんだ付け、結線

一度すべて外したキースイッチとProMicroを再度付け直すというのはなかなかにうんざりするものですが、単純作業なのでやっていきます。ProMicroまで付け終わったら、さらにランドが剥げていたピンから基板のシルクがつながっているキーソケットのピンに対してビニル線で結線します。

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この状態で再度テスターで導通確認を行い、今度はすべてのキーが期待通りにつながっていることを確認しました!!高まる期待!

完成

PCに接続し、キー入力してみると見事すべてのキーで入力できました!早速キーキャップを付けて完成です。

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一回諦めた分、こうやって動くようになると嬉しいですね。

おわりに

本記事はLet's Split v2 (Gateron Clear)を使って書かれました。Let's Splitが流行った頃から比べると公開されているキーボードの数はすごく増えて、公開されている情報も増え、新規に制作される基板の実装のしさすさも改善され、いまではダイオードやICのはんだ付けがないものも出てきています。また部品の調達も遊舎工房さんやTALP KEYBOARDさんを始めとする店舗が必要なものをまとめて取り扱ってくれているため、自分で必要な部品を探す手間も減りました。

こうしたすべては自分で部品を時間をかけて調達し、試行錯誤して、失敗して挫折した、という経験があった自分にはより大きく感じます。いまとなってはクラシックな部類に入るであろうLet's Splitですが、初めて取り組んだ自作キーボードで一度諦めかけただけに、三年越しに使えるものになって嬉しい限りです。

しかしここ最近作ったキーボードがすべて重め(Kailh Speed Burnt Orange、Kailh Box Black、Kailh Low Profile White)だったので、Gateron Clear (リニア35g) は軽すぎて逆に疲れますね....

関連記事

ymotongpoo.hatenablog.com

*1:予備として余っていた方からもう1セットPCBを安く譲ってもらいました