YAMAGUCHI::weblog

海水パンツとゴーグルで、巨万の富を築きました。カリブの怪物、フリーアルバイター瞳です。

インドに行ってきた(出張編)

はじめに

こんにちは、OpenTelemetry推進委員会です。この記事はpyspaアドベントカレンダー20日目の記事です。昨日は狂人Emacs使いのmopemopeさんが担当でした。

先のインドに行ってきた(準備編)に続き、今度は実際に現地に行って感じたことなどを記録として残しておこうと思います。インドに行ってきたとはいえ、多くの方が期待するようなバックパック旅行でのサバイバル記や現地の人々の交流記といった類のものではなく、出張でホテル滞在を繰り返して、体調の維持を最優先として、現地での4回の登壇をそつなくこなすための行動を取った結果のものなので、仕事で行く人にしか参考にならないと思われます。

旅程

もう一度旅程を振り返ります。

都市 日程
クアラルンプール 12/1-2
バンガロール 12/2-4
ハイデラバード 12/4-6
チェンナイ 12/6-7
デリー 12/7-9

今回は経由便を使ってバンガロールからインドに入り、3回の国内移動を経たあと、最後デリーから直行便で日本に帰るという旅程でした。よくよく考えると1週間で4箇所の移動は日本国内の出張でも結構大変なので、単純に移動だけでも体調を崩さないように特に気をつけていました。

気づき

様々な気づきがあったのですが、それらを順不同で乱雑に書き並べてみました。

イベント参加者の熱気やリクエストがすごい

まずイベント登壇者としてインドに行かないとわからないことを先に書いておこうと思います。インドの4都市で登壇したわけですが、どこの会場でも登壇後の質問攻めやLinkedInでのフレンド申請がものすごくて、その熱気に圧倒されました。

インドではTwitterよりもLinkedInのほうが人気のようで「LinkedInには1ヶ月に1、2回程度しかログインしないよ」と伝えても、「それでもいいからつながろう」と言われ、ときには「今申請を出したから今確認をしてほしい、今ここで承認してほしい」と確認を取るまで逃してくれない人もいました。

街を歩いて思ったことでもあるのですが、これだけ人口が多く、また格差も激しい社会、しかもカースト制度は表向きには禁止されているとはいえまだ文化には根深く残っている話を聞くと、ITの世界で勝ち上がっていくという意思を感じるのも納得しました

野良犬や野良牛が多いが野良猫がいない

バンガロール空港(ケンペゴウタ国際空港)に降り立ち、初めてインドの地に立ってまず最初に感じたのは「野良犬が多い」ということ。まず空港の外に出て、迎えのタクシーの乗り場に行くまでの3分の間に3匹の野良犬を見かけ「なるほど、これは狂犬病がなくならないわけだ」と勝手に納得しました。*1

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実際、WHOの報告によると2017年時点でインドでの狂犬病による死者数はアジアの60%弱、全世界での35%を占めるようです。

Rabies is a major burden in Asia, with an estimated 35 172 human deaths per year. India accounts for 59.9% of rabies deaths in Asia and 35% of deaths globally.

また報告によるとインドには1500万匹の野良犬がいるそうで、狂犬病の対策のためにもそういった野良犬をどうしていくのか、動物愛護の観点からも様々な議論がされているようです。

そしてインドといえば牛。「ヒンドゥー教では牛を神聖視しているので街中で牛を見ても誰も手を出さない」というのはよく聞く話です。実際に街中では牛をたくさん見かけました。次の写真は車道を逆走している牛。

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しかし、ヒンドゥー教で元々神聖視されている牛は「コブウシ」という種類の牛で、自分が想像していたようなホルスタイン等々の乳牛は特にそういった神聖視の対象ではなかったようです。実際に水牛なんかは普通に運搬用途で使われていました。

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単純に無用な殺生をしないという理由で街中を自由に闊歩している牛というのはかなり多そうだなと思いました。

そして不思議に感じたのは野良猫の数です。これだけ野良犬や野良牛は見かけたのに、インドの自分が訪れた都市では野良猫をまったく見かけませんでした。英語日本語問わずネットで調べた限りだと

  • インドで猫を愛でる習慣がまだあまりないため猫が生きづらい環境
  • 野良犬が多すぎて食べられたり競争に負ける
  • ヒンドゥー教でネズミは神の遣いとされているため、そのネズミを食べる猫は憎むべき存在となっている

など様々な説を見かけたのですが、なかなかに自分が腹落ちして納得できる説は見つかりませんでした。

自由すぎる交通事情

バンガロール空港に降り立って、そこから車で市内に向かうまでに受けた洗礼はインドの自由すぎる交通事情でした。これまで欧米諸国ぐらいにしか行ったことがなかった自分にとって、インドの交通事情はカルチャーショックでした。車線を守るとか横断歩道を渡るとかいったことが文化として当たり前な国ばかりしか行ったことがなかったのだと思い知らされました。

バンガロールの街中を歩いていたときに撮影した動画を見てください。


Traffic in Bangalore

これはまだ混雑がない道路を撮影した動画ですが、車が車線関係なく走っている様子や、4車線ある道路を人が複数人横断している様子などがわかると思います。とにかく車、リキシャ(オート)、バイクがひっきりなしに走っていて、隙間を縫って動かないと前に進めないから仕方なくこうした運転をしている感じでした。

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この写真は一見普通に駐車場かなにかで人が行き来している様子に見えますが、実際は普通に5車線くらいある幹線道路で渋滞しかけている状況で撮影した写真です。道路というのが車だけのものでなく、停めることができると判断したら人は勝手に降車しますし、勝手にタクシーに乗り込みます。

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バイクは混んでいる道でもすり抜けることができるため、かなりポピュラーな移動手段に見えました。ガソリンスタンドでもバイクが大人気です。

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こちらの写真は一家でバイクに乗っている様子です。ヘルメットをかぶらないスタイルで乗っている人がかなり多く見られました。複数人でバイクに乗っているのもかなり当たり前な感じでした。

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ユンボも工事が終わったらそのまま道路を走って帰ります。こんな状況ですから自分の位置を周りに知らせるためにとにかくみんなクラクションを鳴らしまくっています。

大気汚染は本当にすごい

いま書いたように道路にはとにかく大量の車やバイクやリキシャが走っているし、事前情報で大気汚染がすごいという話を聞いていたので、すごいことになってるんだろうなとは思っていましたが、実際に目にすると毎回驚かされます。


Night market near Charminar

この動画はチャーミ・ナールという歴史的建造物のそばの夜市の様子ですが、なんとなく白く霞んでいるように見えるのが解ると思います。これはカメラの性能とかそういう話ではなくて、普通に肉眼でも同様に見えているもので、つまり大気汚染です。バンガロール、ハイデラバードはこの程度でしたが、デリーは飛行機から着陸の様子を眺めていたときにすでに驚くほど霞んでいました。

デリーのイベントはホテルの1階にあるカンファレンスルームで開催されたのですが、参加者の受付時刻になり受付への出入りが多くなると、だんだんと外の空気が廊下に流れ込み、誇張でなく廊下の上の部分が白く霞み始めたので、本当に大気汚染が深刻であることを実感しました。

www.cnn.co.jp

イベントは12月上旬に開催されたのですが、その1ヶ月前にはディワリヒンドゥー教の祝日)があり、通常の大気汚染に加え花火や爆竹が大量に使われたため特に大気汚染がひどくなり、そのせいで飛行機が視界不良で離着陸できなくなる事態にまでなっていました。

実際バンガロール、ハイデラバード、チェンナイでは大気汚染がひどいと感じていても現地の人はマスクなどしていませんでしたが、デリーでは現地の人でもマスクや口に覆いをしている人もちらほら見かけました。次の写真は帰国の日にフマユーン廟に寄った際に見かけた警備員の方です。

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美味しいインド料理もお腹は壊す

今回の出張は8日間で4都市を移動し、各都市で登壇しなければならなかったので、最優先事項は「登壇時に健康な状態でいる」ということでした。したがって食事もストリートフードなどは一切チャレンジせず、極力ホテルもしくは現地オフィスの信頼できる同僚の勧める店のみで食事をしていました。

おかげさまでスケジュール前半はまったく問題がなく、念の為ビオフェルミンは飲んでいたおかげもあるかもしれないけれども、特に違和感を感じることはなく、毎日本場のインド料理を楽しんでいました。

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私は日本にいるときからインド料理が好きだったので、毎日本場のインド料理が食べれるのが嬉しくて、勧められるものはアレもコレも食べていました。写真はハイデラバードビリヤニです。他にもパニプリ、ヴァダ、サンバーなどなど、出てくる料理は美味しく食べていました。

しかし、連日3食インド料理を食べ続けた結果、私の胃腸はついに限界に達し、ある朝トイレに行くと、大きい方の用を足していたはずなのに、出てくるものは液体のみ。下痢を通り越して、液体でした。最初は感染症を疑ったのですが、熱などはいっこうにでないし、お腹も痛くはない。ただお腹の調子が極端に悪くなってしまいました。ピーク時は何を食べてもお腹を下す自信があったので、持っていったポカリスエット粉末をプロテインシェーカーで水で割って、一晩それをひたすら飲み続けていました。

ピーク後はあいかわらずお腹は緩い状態ではあったのですが、結局それ以上ひどいことにはならず、帰国後はすぐに治ったので、連日のインド料理による油とスパイスの刺激で胃腸がやられていたのだと判断しました。

実際インドに旅行に行く人が患う下痢全般を指して "Delhi Belly" という言葉があるくらい一般的なもののようですね。(Wikipediaの記事では感染症として説明していますが、現地ではそれにとどまらず旅行者の患う下痢症状全般をそう呼んでいるようでした)

ムスリムが多かった

インドに行くまでは「インドといえばヒンドゥー教」と思っていましたが、実際に現地に行くと思っていた以上にイスラム教徒が多く、また街にもモスクなどイスラム教に関する施設を多く見かけました。次の動画は時差ボケで朝5時に起きたら外からアザーンが聞こえてきたときの様子です。


Adhan in Bangalore

実際、インドにおいてムスリムは人口の15%程度存在し、2億人弱存在するということを、このことに気がついてインドで調べて初めて知りました。しかしながら、Wikipediaの記事等にもあるとおり、インド国内においては80%近くの大多数が ヒンドゥー教のため、ムスリムに対する迫害も存在します。

自分が帰国してすぐにデリーで「反イスラム」的だと言われる市民権関連法に関するデモが起きていました。e-VISA申請時にも信教に関する質問事項があるので、イスラム教と回答した場合には何かあるのかもしれません。

www.afpbb.com

過去も両宗教の対立が原因でパキスタンの独立が起きているので、複雑な気持ちになります。

www.nna.jp

またインドのイスラム主義組織がテロなどを起こしていることもあり、次のように施設のセキュリティが厳しくなりました

大人数が集まる施設のセキュリティが厳しい

バンガロール空港に初めて着いたときには「空港だし厳しいのだろう」くらいにしか思わなかったのですが、その後各都市に移動したりホテルに行ったり観光施設に行くと、毎回X線による手荷物検査と金属探知機による身体検査を必ず求められました。

ja.wikipedia.org

きっかけはこのムンバイでの同時多発テロのようです。外国人が多く宿泊する施設でも2箇所でテロが起きて多くの死傷者があったので、それ以来出張で訪れる人が宿泊するようなホテルでは必ず手荷物検査をしています。もっともX線検査のモニターの前にいる警備員がスマートフォンを眺めてたりして「本当にこれ機能してる?」と思ったりすることは多々あるのですが。

蚊が非常に大きい

インドに着いて感じたのは外を歩いているときに見かけた蚊のサイズが大きいということです。日本であのサイズの蚊を見かけたのは地元の山で見かけたくらいです。羽音も非常に大きく「ハエが飛んでるのかな?」と思ったくらいです。確かにあれでは通常の虫除け程度では効かなそうでした。

その他

非常に雑多な気づきが多くあったため、これまでに書いたもの以外にも

  • ホテルでは無限にペットボトル入りの水をくれる
  • 道路の舗装状況が良くないためベビーカーを押している人がまったくいない
  • 暑くてもハーフパンツを履いている人を見かけない
  • バンガロールのKRマーケットで行き倒れのおじいさんを見かけたり、ゴミ袋の中で残飯を食べている幼児を見かけて辛くなった
  • スズキ、トヨタヒュンダイ、タタの車が非常に多い

などが気付きとしてありました。

明日は @takabow です。

参照

*1:厚生労働省によるWHOの報告書のまとめによると2004年時点で世界で狂犬病が発生している国のうちインドは狂犬病発生数で1位

インドに行ってきた(準備編)

はじめに

こんにちは、OpenTelemetry推進委員会です。Velocity Berlin、KubeCon North Americaの出張に続いてGDG Cloud Community Daysというイベント(DevFest的なイベント)がインドの7都市であり、そのうち4都市で登壇してきました。その際に、今回初めてインドにいくのでもろもろと準備をしました、という記録です。

旅程

都市 日程
クアラルンプール 12/1-2
バンガロール 12/2-4
ハイデラバード 12/4-6
チェンナイ 12/6-7
デリー 12/7-9

インドというか、南アジア・東南アジアではシンガポール以外の国に行くのが初めてだったのでいろいろと準備が必要でした。いろいろ書いていたら準備だけで長くなってしまったので、まずは準備編だけまとめます。

ビザ

日本のパスポートの保持者は数多くの国においてビザの取得が免除されていて、海外出張に行くたびにその恩恵を感じます。しかしインドに関してはビザの取得が必須です。とはいえ、日本国籍の人間はインドの主要な都市に行く限りにおいては比較的容易な申請方法で取得可能です。

indianvisaonline.gov.in

インド国内で空港や港がある都市にのみ行く場合には、書面による申請ではなくオンラインでのe-VISAの申請が可能で、多くの質問に答える必要はありますが、アメリカのESTAを取得するのとあまり変わらない手間でインドのビザを取得可能です。*1

実際自分も条件に適応するのがビジネスビザだったため、その申請をしたところ中2日で申請が処理され、無事にe-VISAが取得できました。一つ注意としては、申請の際に入国と出国の都市(空港や港)を聞かれるのですが、もし申請後に旅程に変更があっても、先に書いたように空港や港がある都市内を移動するだけであれば最申請の必要はありません。

インドに到着した際にe-VISAを印刷した紙を専用の入国審査窓口で見せると、いくつかの質問を経た上でパスポートにビザとなるスタンプを押してくれます。

公衆衛生・健康

予防接種

www.in.emb-japan.go.jp

「出張だし大丈夫」とは言われるのだけど、こういう機会でも無ければ打たないし、保険としてリターンが大きい*2ので、打ってきました。

直前に行ったこともあり、1日で6本という幼児もびっくりの数の予防接種を打ってきました。担当の看護師も「いやー、これはなかなかに大変ですね」と言ってました。

整腸剤

予防接種にあわせて薬等々を準備しました。調べてみるとインドで罹患するような病気(虫や細菌が原因のもの)の場合は、日本で市販されている薬ではどうにもならないものがほぼすべてということだったので、買うのは整腸剤のみ。安心のビオフェルミンSを購入しました。

新ビオフェルミンS錠 [指定医薬部外品]

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  • メディア: ヘルスケア&ケア用品

スポーツドリンクの粉

整腸剤をもってしても一度感染症や食あたりになってしまえば意味がありません。回復までの期間、脱水症状を回避しつつ栄養を摂るためにもスポーツドリンクの粉を持っていくのが良いと判断し、合計10L分の粉を用意しました。

虫除け

「インドの虫は強いので日本の虫除けは役に立たない」と、これまたインドの虫の戦闘力を推してくるブログ記事ばかりを見かけます。

というわけで、普段は室内にいるから必要ないとは思うけれど、外に出ることがある場合に備えて、 現地の虫よけ剤にも入っているディート(ジエチルトルアミド)を含んだ虫よけ剤を購入。100mlだしガスを使わないプッシュ式のスプレーなのも海外への携行を意識したメーカー側の配慮を感じ好感度アップです。

【第2類医薬品】ムヒの虫よけムシペールα30 60mL

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  • 発売日: 2017/03/21
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品

大気汚染

インドの大気汚染は近年かなり重篤な水準になっているよう*3で、各種報道でもそのような内容の記事がたくさん見られます。

またこちらの世界の大気汚染を地図で一覧できるサイトでも顕著です。

waqi.info

たとえば東京都心は世界的に見ても都市部の中ではかなり空気が綺麗。

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一方インド、特にデリーがある北インドでは時間によってはスケールの上限値に近い900超えの数値が出るエリアが多数あります。

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出張中はイベントで登壇したり室内で過ごすことが多いとはいえ、移動中や空調が効かなかったときの場合に備え、マスクを持っていくことにしました。マスクもきちんと「PM2.5対策」などと明記してあるものです。

両替

インドルピーは国外への持ち出しが禁止で、日本国内の空港の両替所でもインドルピーは交換できません。したがってインド国内で両替するしかありません。

さまざまなサイトで調べたりインドに行ったことがある同僚に聞くと「両替所では現在では利用不可になっている旧紙幣を出してきて騙してくるやつがいる」とか「両替時に札をくすねられた」とか様々な話を聞いてやる気をなくしました。

今回は出張で現地観光をするような時間もほぼ無いため、カードでできるだけ過ごしてみることにしました。また万が一現金が必要になった場合には他の海外出張時と同様、ソニー銀行のカードを使ってATMを利用して引き出すことにします。

SIMカード

インドでは現地でSIMカードを取得するのが少し面倒という記事をいくつか見かけたため、なるべく国内で事前に購入していきたいと思ったのですが、ちょうど良さそうなSIMカードが値段も安く売っていたのでそちらをAmazonで購入しました。

レビューを見る限りはインドで使っている人は多いようですが、果たしてきちんと使えるのでしょうか。現地で確かめてみます。

というわけで、出張編に続きます...

参考

*1:質問内容が複雑だったり、添付するパスポートをスキャンしたPDFや申請者の写真画像のフォーマットに制限があり、その加工が多少面倒です。

*2:例えば破傷風とかは子供の頃に予防接種しているならブースターを摂取することで10年効く

*3:The Economistの記事によると2018年の大気汚染のワースト30の都市のうち、インドの都市が22あった。

ドイツに行ってきた

はじめに

こんにちは、OpenTelemetry推進委員会です。先々週Velociy Berlin 2019でOpenTelemetryを使って分散トレースを取ってみるという3時間のワークショップの講師をしてきたのですが、初めてドイツに行ったので面白いと思ったところを雑多に記録しておこうと思います。他の旅行記/出張記は以下のとおり。

旅程

都市 日程
ベルリン 11/2-7
フランクフルト 11/7-9

気づき

細かなことはいろいろあるし生活しているとまた違った感想になるのかもしれないけれど、初見で感じたことを残しておきます。

全般的なこと

英語の表示が驚くほど少ない

ドイツに着いてから知ったのですがドイツ語は公用語になっている国は少ないものの、母語とする話者はかなり多いらしく、それもあってか国内の看板、特に駅での表記には英語併記のものがかなり少なかったような印象を受けました。

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フランクフルト中央駅にて
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ベルリン東駅にて

シェア電動キックボードやシェアサイクルが多い

自分は電動キックボードは今年の7月にGopherCon 2019が行われた際にサンディエゴで初めて経験して、いまもKubeConでサンディエゴに来ているのですが、街中で見かけるのはLimeとBIRDとLyftのキックボードでした。

しかし、ドイツ(ベルリンとフランクフルト)では非常に多くのシェア電動キックボードのサービスが展開されていることを知りました。確認しただけでも5社が展開していました。

またシェアサイクルも多く、次の様なサービスが展開しています。

このブログなんかでも紹介されています。

johnnyafrica.com

電車の行き先の表記が省略形のものが多く行き先が分かりづらい

これはある種の初見殺しとも言えるもの。ベルリンやフランクフルトで感じたのは、とにかく駅名が長い!というのも、駅名にたいていその地域(BerlinやFrankfurtなど)の名前が最初についていて、その後に様々な名前が書かれているので長くなります。

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フランクフルト空港最寄りの Frankfurt am Main Flughafen Fernbahnhof 駅

Googleマップなどで行き先を検索するとその途中の一語(たいてい地域名は省略される)が、しかもたまに省略形で書かれていたりするので、ぱっと見てどこに向かっているかわからなくて困りました。

電車やバスが割と時間に正確

これは電車の時間が割と正確な日本*1に住んでいると意識しないけれども、他国の鉄道が主な移動手段ではない都市では平気で予告もなく遅れるし、どれくらい遅れているかすらわからなかったりするので、そういう意味ではベルリンやフランクフルトは「あと何分で駅に来る」というのが常に電光掲示板に表示してあるので安心感があります。そのあたりは日本に近い感覚です。

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ICEは早くて快適

ICE (Intercity Express) はドイツの新幹線です。自分は公共交通機関が好きなので、外国に行ったら危険がなければなるべく現地の公共交通機関に乗ってみるようにしています。ベルリンには日本からの直行便がないため、今回はフランクフルトの直行便に乗り、そこからICEでベルリンまで行きました。(帰りも同様)

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写真を見てわかるように290km/hとなかなかの速度が出ていますが、車両がガタつくこともなく、車内では食事も頼むことができたりとかなり快適な旅でした。車両構成によっては椅子がリクライニングできないのでその部分はちょっと不満でしたが、それ以外は満足でした。(イタリア国内でItaloに乗ったときと同じような車両だったので、納入は同じ会社かもしれないですね)

リサイクルがすごい

ドイツはリサイクル大国として知られますが、ペットボトルや瓶の飲み物にはすべて容器の料金が乗っています。実際にスーパーに行ってリサイクル用の回収機に入れるとそのスーパーで使えるクーポンをもらえます。なのでちゃんとリサイクルすれば10%くらいは割引になります。


ドイツの空き容器回収機

ビールが安い

500mlのビールで€0.80(100円弱)くらいで、しかもリサイクルすると瓶は€0.10くらい戻ってくるので、実質90円くらいになります。やすいので飲み過ぎに注意。

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自転車専用道路が整っている

これはアムステルダムでも感じたことだけれども、自転車専用道路が整備されているところが多く、また歩道でも自転車走行地帯と歩行者通行地帯が分けられている箇所も多かったです。自転車専用信号は日本にもありますが、その数は明らかに差がありました。

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結構喫煙者が多い

北米は喫煙禁止のエリアが非常に多く、日本も最近では路上喫煙に関して非常に厳しい制限がかけられつつありますが、ロンドンでもそうだったように、ドイツでは割と駅前でタバコを吸っている人が多く見かけられました。駅構内ではだめだからと駅の入口のすぐとなりで吸っている人なども多く見かけました。

信号の変わり方が面白い

自分が訪れた国では緑→黃→赤→緑という風に変わるものばかりでしたが、ドイツでは緑→黃→赤→赤と黄→緑で循環しています。


ドイツの信号の切り替わり方 / How German traffic lights changes

クレジットカードの非接触支払いが結構あった

VISAのpayWave、MastercardのPayPassが結構多くの場所で使えることに驚きました。特に驚いたのは駅の切符の自動販売機が対応していて、暗証番号などを入れなくても切符を簡単に買えました。

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ベルリン

カレーブルストはうまい

ベルリンではCurrywurstという庶民の味とも言えるソーセージにケチャップとカレー粉をかけたものをよく食べていました。小さな店の前で雑に立って飲み食いするスタイルで、こういう店は現金しか受け付けていなかったりします。そのあたりもローカルっぽさがあってよかったです。

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軒先で立って飲み食いするスタイル

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トマトケチャップは店によって味が違い、ソーセージを引き立てている

U-bahnは思ったより車両が狭い

市内を走る近距離線は地上を走るS-bahnと地下鉄のU-bahnがありますが、U-bahnは体が大きなドイツ人が乗るには小さいのでは?と思うくらいのサイズ感の車両でした。

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歩行者信号はたまにアンペルマンじゃない

ベルリンの歩行者信号といえばアンペルマンが有名で、現地で初めて生のアンペルマンを見たときは「おお!」と謎の感動があったわけですが、歩いているとたまにアンペルマンではない普通の人形をした歩行者信号もあり、何が基準でそうなっているのか疑問でした。で、Wikipediaで調べたところそもそも旧東ドイツにしかなかったものが、ベルリンの壁解放後に徐々に拡大していったということで、はじめからこうではなかったということを初めて知りました。

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普通の人形になっちゃってた信号機

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アンペルマンの信号機

フランクフルトでの免税手続きに関して

ドイツの有名な工業製品といえばRIMOWAのスーツケースですが、今回の出張で前から買おうと思っていた機内持ち込み用のスーツケースを買いました。その際、当然免税手続きをするわけですが、自分はフランクフルト空港から日本に帰ったので、そこで免税手続きを行いました。

いくつかのウェブサイトで免税手続きの方法を調べて、自分が利用していたJALのウェブサイトでも確認しましたが、機内持ち込みのスーツケースの免税に関して状況が変わっていると思ったことを記録します。(JALのためターミナル2での話)

  • RIMOWAの機内持ち込みのスーツケースの免税に関しては、スーツケースを新品のまま持っていかなくても良い
    • RIMOWAのスーツケースには製造番号が記載してあるため、レシートを持っていれば購入品であると確認できるため、中身を普通に入れて空港に行っても大丈夫
  • 税関は出国審査の直後にあり、グローバルブルーの窓口と横並びになっている。クレジットカードへの返還にすれば数日で返ってくる

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税関窓口とグローバルブルーの窓口が横並びにある

グローバルブルーの書類を郵送で送ってVATの返還をしてもらう話しか見なかったので、実際に窓口に行ったときはあまりの処理の速さに驚きました。RIMOWAでもらったレシートと免税書類を税関窓口に渡し、中身の入ったスーツケースを窓口に出して「これがそのスーツケースです」と伝えたら中身を確認することもなくスタンプをくれます。そのすぐ隣りにあるグローバルブルーの窓口にその書類をそのままそっくり渡したらすぐに受理され、VATを返還してもらうクレジットカード(自分の場合はデビットカード)を渡したら、スワイプしてくれてその場で完了です。帰国後数日でVATが返金されました。「数ヶ月も待つので返金されるのか心配になる」というような話ばかり見ていたので嬉しい誤算でした。

*1:都会の朝夕のラッシュの時間とかは例外として

海外で為替レートや手数料をお得に過ごしたい

はじめに

こんにちは、Stackdriver担当者です。よく本社であったり海外に出張に行くことが多いので、今回ドイツに出張行く前に一度自分の手持ちのクレジットカードやデビットカードでどれが一番海外でお得に利用できるか整理したくなった。

TL;DR

1枚で全部こなすなら、ソニー銀行に必要なだけ円を入れておいて外貨普通預金口座だけ開設しておけば主要10通貨でショッピングとATM両方でお得っぽい。(自分調査なので正確性は保証しません。)

ショッピング

JALカード

自分はJALカードを使っているのでJALカードの例を出すけれどもこのあたりは手持ちのクレジットカードのウェブサイトのFAQなどに必ず載っていると思う。自分の場合はDC発行のVISAなので、外国為替に関して VISAのレートとは別に 2.0% の手数料が乗っかってくる。

金額の計算はこちらの計算機で確認できる。

usa.visa.com

ただJALカードの場合通常で200円で1マイル、最大で100円で1マイルたまるので、USDの場合、1USDでだいたい1マイル貯まることを考えると、実質1.0-1.5%前後の手数料と言えなくもない。

ソニー銀行

moneykit.net

ソニー銀行の為替レートではUSDのスプレッド15銭で、しかもショッピングの場合は手数料が無料になっている。またクレジットカードの場合と同様に不正利用に関しても保証があるので、普通にクレジットカードを利用するのと同じ感覚で使える。また使ってトランザクションが発生してすぐにメールでどこでいくら使ったかが通知が来るので、不正利用自体にも気づきやすい。万が一それに気づかなかったとしても銀行の預金口座以上に使われることがないのは助かる。

しかも外貨預金普通口座の残高が足りない場合でも円普通口座から自動でその時のソニー銀行でのTTSで両替してそれ以外の手数料がかからないので、スプレッドの15銭だけしかからない。割合に換算すると手数料 0.1% ということになる。安い。 あと「優遇プログラム Club S」というのがあって、口座残高に応じてスプレッドが4銭にまで下がるらしいけど、そんなに入れてしまうと自分のデビットを使う目的の一つである「口座の額以上に使われることがないから安心」という保険的な利用方法に当てはまらなくなってしまうので、今回はその部分は検討しない。

JAL Global WALLET

為替レートが載っているが、2019年11月13日現在での為替レートで見ると片道1.3円取られている。

ご利用方法|両替|JAL Global WALLET

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2019年11月13日現在の為替レート。この時のTTMは109.18円

為替レートで変動すると思うが、割合で換算すると 1.3% が手数料。

SBI銀行VISAデビット付きキャッシュカード

こちらはUSDで見ると為替レートではソニー銀行よりも安いスプレッド4銭。海外事務手数料は2.5%だけれども、30回までは「ポイント」でキャッシュバック。これをどう捉えるかで変わってきそう。自分は正直SBI銀行のポイント(スマプロポイント)で返ってきても嬉しくないので、その点は無視する。

キャッシング(海外ATM利用)

JALカード

自分のもってるJALカードの発行会社がDCカードなのでそれの引用だけれども、基本的にキャッシングは海外だろうが国内だろうが金利は変わらない。繰り上げ返済すれば金利は安くなるけれど、忘れてしまった場合の金利は高くなる。また為替レートはVISAのレート(上述)と同じなので、両替所よりは安いかもしれないがあまり割のいいものではない。明記されていないがATMの手数料も別途取られる。

ソニー銀行

ショッピングの場合と同様、外貨口座を開設しておけばUSDのスプレッド15銭だけで、手数料が現地のATM手数料+1.79%の事務手数料となる。たとえば2019年11月13日現在、100USDを下ろす場合、1.79USDが事務手数料なので、日本円だと200円弱取られることになる。

JAL Global WALLET

ATM手数料に関しては200円相当額と固定なのは素晴らしい。しかし、レートがいまいちなので、下ろす金額にもよるけれど、そこまでソニー銀行と変わらない気がする。

SBI銀行VISAデビット付きキャッシュカード

海外ショッピングの場合と同様。手数料2.5%がスマプロポイントで返ってくるけれど、自分は特にほしくないので無視。ATM利用料は別途徴収される。(ソニー銀行と同じ)

参照

GitHubのPull Requestからpatchを取得して試す

はじめに

こんにちは、OpenTelemetry推進委員会です。OpenTelemetryのワークショップをしにベルリンに来ているんですが、そこで事前準備をしていたところ、ワークショップのコードがupstreamの直近の変更で動かなくなり、あわててcohostがPull Requestを投げました。これを承認前に自分で手元で試すためにPull Requestだけのパッチが必要になったけれども、そういえばやったことがないなと思って調べたところ、非常に簡単だったのでメモしておきます。

パッチファイルを持ってくる場合

$ cd /path/to/repo
$ wget https://github.com/username/reponame/pull/:pull_number.patch
$ git am -3 number.path

もしくは hub コマンドを使って

$ cd /path/to/repo
$ hub am -3 https://https://github.com/username/reponame/pull/:pull_number.patch

.patch のURLについて

「ドキュメントに書いていない裏技!」みたいな感じで書いてあるブログ記事がたくさん、あって「本当にそうなのか?」って思って調べてみたところ、たしかに丁寧には書いてなかったが一応公式ドキュメントのAPIレスポンスの中にそのURLが含まれていることは確認した。

developer.github.com

同じようにしてdiff形式のファイルも取得できる。

git am の -3 オプション

git am で 3way merge をする際のオプション。そこまでややこしいパッチを試したことがなかったので使ってなかったけど、とりあえずここではメモのためにつけておく。

ブランチを取ってくる場合

てっきり次のようにしてフォークされたブランチを取ってくるのかと思っていました。

$ git fetch git@github.com:username/forked-repo branchname

しかしGitHubはremote refのエイリアスを用意してくれていたんですね。

help.github.com

$ git fetch upstream pull/ID/head:branchname

ヘルプを見るとレポジトリの書き込み権限がないとできなさそうな雰囲気で書いてるけれど、普通に全然関係ない人でも取れました。

両方あるけどどっちがいいの

git fetch 一回で取ってこれるのでブランチを取ってくるほうが楽そうですね。

じゃあpatchやdiffの方はいらないかというと、patchとかdiffの場合はprivate repoでも一時的にURLを生成して外から取ってこれるので、クリーンな環境でパッチを当てなければいけないときに便利です。