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海水パンツとゴーグルで、巨万の富を築きました。カリブの怪物、フリーアルバイター瞳です。

インドに行ってきた(出張編)

はじめに

こんにちは、OpenTelemetry推進委員会です。この記事はpyspaアドベントカレンダー20日目の記事です。昨日は狂人Emacs使いのmopemopeさんが担当でした。

先のインドに行ってきた(準備編)に続き、今度は実際に現地に行って感じたことなどを記録として残しておこうと思います。インドに行ってきたとはいえ、多くの方が期待するようなバックパック旅行でのサバイバル記や現地の人々の交流記といった類のものではなく、出張でホテル滞在を繰り返して、体調の維持を最優先として、現地での4回の登壇をそつなくこなすための行動を取った結果のものなので、仕事で行く人にしか参考にならないと思われます。

旅程

もう一度旅程を振り返ります。

都市 日程
クアラルンプール 12/1-2
バンガロール 12/2-4
ハイデラバード 12/4-6
チェンナイ 12/6-7
デリー 12/7-9

今回は経由便を使ってバンガロールからインドに入り、3回の国内移動を経たあと、最後デリーから直行便で日本に帰るという旅程でした。よくよく考えると1週間で4箇所の移動は日本国内の出張でも結構大変なので、単純に移動だけでも体調を崩さないように特に気をつけていました。

気づき

様々な気づきがあったのですが、それらを順不同で乱雑に書き並べてみました。

イベント参加者の熱気やリクエストがすごい

まずイベント登壇者としてインドに行かないとわからないことを先に書いておこうと思います。インドの4都市で登壇したわけですが、どこの会場でも登壇後の質問攻めやLinkedInでのフレンド申請がものすごくて、その熱気に圧倒されました。

インドではTwitterよりもLinkedInのほうが人気のようで「LinkedInには1ヶ月に1、2回程度しかログインしないよ」と伝えても、「それでもいいからつながろう」と言われ、ときには「今申請を出したから今確認をしてほしい、今ここで承認してほしい」と確認を取るまで逃してくれない人もいました。

街を歩いて思ったことでもあるのですが、これだけ人口が多く、また格差も激しい社会、しかもカースト制度は表向きには禁止されているとはいえまだ文化には根深く残っている話を聞くと、ITの世界で勝ち上がっていくという意思を感じるのも納得しました

野良犬や野良牛が多いが野良猫がいない

バンガロール空港(ケンペゴウタ国際空港)に降り立ち、初めてインドの地に立ってまず最初に感じたのは「野良犬が多い」ということ。まず空港の外に出て、迎えのタクシーの乗り場に行くまでの3分の間に3匹の野良犬を見かけ「なるほど、これは狂犬病がなくならないわけだ」と勝手に納得しました。*1

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実際、WHOの報告によると2017年時点でインドでの狂犬病による死者数はアジアの60%弱、全世界での35%を占めるようです。

Rabies is a major burden in Asia, with an estimated 35 172 human deaths per year. India accounts for 59.9% of rabies deaths in Asia and 35% of deaths globally.

また報告によるとインドには1500万匹の野良犬がいるそうで、狂犬病の対策のためにもそういった野良犬をどうしていくのか、動物愛護の観点からも様々な議論がされているようです。

そしてインドといえば牛。「ヒンドゥー教では牛を神聖視しているので街中で牛を見ても誰も手を出さない」というのはよく聞く話です。実際に街中では牛をたくさん見かけました。次の写真は車道を逆走している牛。

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しかし、ヒンドゥー教で元々神聖視されている牛は「コブウシ」という種類の牛で、自分が想像していたようなホルスタイン等々の乳牛は特にそういった神聖視の対象ではなかったようです。実際に水牛なんかは普通に運搬用途で使われていました。

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単純に無用な殺生をしないという理由で街中を自由に闊歩している牛というのはかなり多そうだなと思いました。

そして不思議に感じたのは野良猫の数です。これだけ野良犬や野良牛は見かけたのに、インドの自分が訪れた都市では野良猫をまったく見かけませんでした。英語日本語問わずネットで調べた限りだと

  • インドで猫を愛でる習慣がまだあまりないため猫が生きづらい環境
  • 野良犬が多すぎて食べられたり競争に負ける
  • ヒンドゥー教でネズミは神の遣いとされているため、そのネズミを食べる猫は憎むべき存在となっている

など様々な説を見かけたのですが、なかなかに自分が腹落ちして納得できる説は見つかりませんでした。

自由すぎる交通事情

バンガロール空港に降り立って、そこから車で市内に向かうまでに受けた洗礼はインドの自由すぎる交通事情でした。これまで欧米諸国ぐらいにしか行ったことがなかった自分にとって、インドの交通事情はカルチャーショックでした。車線を守るとか横断歩道を渡るとかいったことが文化として当たり前な国ばかりしか行ったことがなかったのだと思い知らされました。

バンガロールの街中を歩いていたときに撮影した動画を見てください。


Traffic in Bangalore

これはまだ混雑がない道路を撮影した動画ですが、車が車線関係なく走っている様子や、4車線ある道路を人が複数人横断している様子などがわかると思います。とにかく車、リキシャ(オート)、バイクがひっきりなしに走っていて、隙間を縫って動かないと前に進めないから仕方なくこうした運転をしている感じでした。

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この写真は一見普通に駐車場かなにかで人が行き来している様子に見えますが、実際は普通に5車線くらいある幹線道路で渋滞しかけている状況で撮影した写真です。道路というのが車だけのものでなく、停めることができると判断したら人は勝手に降車しますし、勝手にタクシーに乗り込みます。

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バイクは混んでいる道でもすり抜けることができるため、かなりポピュラーな移動手段に見えました。ガソリンスタンドでもバイクが大人気です。

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こちらの写真は一家でバイクに乗っている様子です。ヘルメットをかぶらないスタイルで乗っている人がかなり多く見られました。複数人でバイクに乗っているのもかなり当たり前な感じでした。

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ユンボも工事が終わったらそのまま道路を走って帰ります。こんな状況ですから自分の位置を周りに知らせるためにとにかくみんなクラクションを鳴らしまくっています。

大気汚染は本当にすごい

いま書いたように道路にはとにかく大量の車やバイクやリキシャが走っているし、事前情報で大気汚染がすごいという話を聞いていたので、すごいことになってるんだろうなとは思っていましたが、実際に目にすると毎回驚かされます。


Night market near Charminar

この動画はチャーミ・ナールという歴史的建造物のそばの夜市の様子ですが、なんとなく白く霞んでいるように見えるのが解ると思います。これはカメラの性能とかそういう話ではなくて、普通に肉眼でも同様に見えているもので、つまり大気汚染です。バンガロール、ハイデラバードはこの程度でしたが、デリーは飛行機から着陸の様子を眺めていたときにすでに驚くほど霞んでいました。

デリーのイベントはホテルの1階にあるカンファレンスルームで開催されたのですが、参加者の受付時刻になり受付への出入りが多くなると、だんだんと外の空気が廊下に流れ込み、誇張でなく廊下の上の部分が白く霞み始めたので、本当に大気汚染が深刻であることを実感しました。

www.cnn.co.jp

イベントは12月上旬に開催されたのですが、その1ヶ月前にはディワリヒンドゥー教の祝日)があり、通常の大気汚染に加え花火や爆竹が大量に使われたため特に大気汚染がひどくなり、そのせいで飛行機が視界不良で離着陸できなくなる事態にまでなっていました。

実際バンガロール、ハイデラバード、チェンナイでは大気汚染がひどいと感じていても現地の人はマスクなどしていませんでしたが、デリーでは現地の人でもマスクや口に覆いをしている人もちらほら見かけました。次の写真は帰国の日にフマユーン廟に寄った際に見かけた警備員の方です。

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美味しいインド料理もお腹は壊す

今回の出張は8日間で4都市を移動し、各都市で登壇しなければならなかったので、再優先事項は「登壇時に健康な状態でいる」ということでした。したがって食事もストリートフードなどは一切チャレンジせず、極力ホテルもしくは現地オフィスの信頼できる同僚の勧める店のみで食事をしていました。

おかげさまでスケジュール前半はまったく問題がなく、念の為ビオフェルミンは飲んでいたおかげもあるかもしれないけれども、特に違和感を感じることはなく、毎日本場のインド料理を楽しんでいました。

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私は日本にいるときからインド料理が好きだったので、毎日本場のインド料理が食べれるのが嬉しくて、勧められるものはアレもコレも食べていました。写真はハイデラバードビリヤニです。他にもパニプリ、ヴァダ、サンバーなどなど、出てくる料理は美味しく食べていました。

しかし、連日3食インド料理を食べ続けた結果、私の胃腸はついに限界に達し、ある朝トイレに行くと、大きい方の用を足していたはずなのに、出てくるものは液体のみ。下痢を通り越して、液体でした。最初は感染症を疑ったのですが、熱などはいっこうにでないし、お腹も痛くはない。ただお腹の調子が極端に悪くなってしまいました。ピーク時は何を食べてもお腹を下す自信があったので、持っていったポカリスエット粉末をプロテインシェーカーで水で割って、一晩それをひたすら飲み続けていました。

ピーク後はあいかわらずお腹は緩い状態ではあったのですが、結局それ以上ひどいことにはならず、帰国後はすぐに治ったので、連日のインド料理による油とスパイスの刺激で胃腸がやられていたのだと判断しました。

実際インドに旅行に行く人が患う下痢全般を指して "Delhi Belly" という言葉があるくらい一般的なもののようですね。(Wikipediaの記事では感染症として説明していますが、現地ではそれにとどまらず旅行者の患う下痢症状全般をそう呼んでいるようでした)

ムスリムが多かった

インドに行くまでは「インドといえばヒンドゥー教」と思っていましたが、実際に現地に行くと思っていた以上にイスラム教徒が多く、また街にもモスクなどイスラム教に関する施設を多く見かけました。次の動画は時差ボケで朝5時に起きたら外からアザーンが聞こえてきたときの様子です。


Adhan in Bangalore

実際、インドにおいてムスリムは人口の15%程度存在し、2億人弱存在するということを、このことに気がついてインドで調べて初めて知りました。しかしながら、Wikipediaの記事等にもあるとおり、インド国内においては80%近くの大多数が ヒンドゥー教のため、ムスリムに対する迫害も存在します。

自分が帰国してすぐにデリーで「反イスラム」的だと言われる市民権関連法に関するデモが起きていました。e-VISA申請時にも信教に関する質問事項があるので、イスラム教と回答した場合には何かあるのかもしれません。

www.afpbb.com

過去も両宗教の対立が原因でパキスタンの独立が起きているので、複雑な気持ちになります。

www.nna.jp

またインドのイスラム主義組織がテロなどを起こしていることもあり、次のように施設のセキュリティが厳しくなりました

大人数が集まる施設のセキュリティが厳しい

バンガロール空港に初めて着いたときには「空港だし厳しいのだろう」くらいにしか思わなかったのですが、その後各都市に移動したりホテルに行ったり観光施設に行くと、毎回X線による手荷物検査と金属探知機による身体検査を必ず求められました。

ja.wikipedia.org

きっかけはこのムンバイでの同時多発テロのようです。外国人が多く宿泊する施設でも2箇所でテロが起きて多くの死傷者があったので、それ以来出張で訪れる人が宿泊するようなホテルでは必ず手荷物検査をしています。もっともX線検査のモニターの前にいる警備員がスマートフォンを眺めてたりして「本当にこれ機能してる?」と思ったりすることは多々あるのですが。

蚊が非常に大きい

インドに着いて感じたのは外を歩いているときに見かけた蚊のサイズが大きいということです。日本であのサイズの蚊を見かけたのは地元の山で見かけたくらいです。羽音も非常に大きく「ハエが飛んでるのかな?」と思ったくらいです。確かにあれでは通常の虫除け程度では効かなそうでした。

その他

非常に雑多な気づきが多くあったため、これまでに書いたもの以外にも

  • ホテルでは無限にペットボトル入りの水をくれる
  • 道路の舗装状況が良くないためベビーカーを押している人がまったくいない
  • 暑くてもハーフパンツを履いている人を見かけない
  • バンガロールのKRマーケットで行き倒れのおじいさんを見かけたり、ゴミ袋の中で残飯を食べている幼児を見かけて辛くなった
  • スズキ、トヨタヒュンダイ、タタの車が非常に多い

などが気付きとしてありました。

明日は @takabow です。

参照

*1:厚生労働省によるWHOの報告書のまとめによると2004年時点で世界で狂犬病が発生している国のうちインドは狂犬病発生数で1位