YAMAGUCHI::weblog

海水パンツとゴーグルで、巨万の富を築きました。カリブの怪物、フリーアルバイター瞳です。

ぎっくり腰になってすぐに海外出張にいくことになった

はじめに

人間は年を取るといろいろなところに支障がでてくる。自分はこれまで大きな病気やケガもなく、一番大きな病気で記憶にあるのはノロウイルスに感染して脱水症状をおこしかけたくらいで、ほかは入院の経験もない。ケガも中学の頃に左手首にヒビが入ったくらいで、多少は捻挫等のケガはあったものの、松葉杖、車椅子での生活、あるいは入院といったこともなかった。

そういった経緯もあり、今回ぎっくり腰になって酷くうろたえた。特に痛みのピークでは病院にたらい回しにされたストレスもあり、ひどく落ち込んでいた。さらに翌週には海外出張も控え、非常に不安であった。そうした体験はあまり得られないため、記録のためにここに記そうと思う。

なお過去に似たようなモチベーションで記録を残したものには次のようなものがある。

ymotongpoo.hatenablog.com

ymotongpoo.hatenablog.com

TL;DR

ぎっくり腰後に海外出張に行くことになったらサーモス系のスープジャーなどに氷で冷蔵しながらボルタレン坐薬を持ち運ぶと安心感がある。

ぎっくり腰時系列

  • 8/19 16:30頃: 重いものを持ち上げた拍子に腰(仙骨あたり)でなにかずれた感覚があって直感で「あ、やっちゃった」と感じる。幸いまだ動けたので歩いて帰宅。痛いながらも一日過ごす。
  • 8/20 8:00頃: ベッドから起きると通常の生活に著しく支障をきたすレベルの痛みがあり、椅子になんとか座るも姿勢を変えることができない。近所の病院に電話しまくり外来できるところに行くことに。
  • 8/20 10:00頃: 病院に着いて生まれて初めて車椅子を体験する。便利。その後診察とレントゲンを撮り、問診・触診等の結果と併せて、椎間板ヘルニアではなさそうということで鎮痛剤を処方してもらって帰宅。帰りは歩いて帰れた。
  • 8/21-23 終日: 相変わらず朝は痛いものの、8/20の朝ほどではない。鎮痛剤のおかげもあって、朝数時間すると普通に生活はできる程度になる。
  • 8/24 9:00頃: ぎっくり腰は早ければ3日で痛みが収まると言われているが、相変わらず朝はかなり痛いので、月曜日から海外出張で不安もあるため、念の為近くの個人医院(整形外科)に診察してもらう。やはり最初の診断と同様、椎間板ヘルニアではなく、仙骨周りの靭帯の損傷でしょうとのこと。鎮痛剤(坐薬)が切れたので追加で処方してもらう。
  • 8/25: 朝の腰の様子はかなり改善された。しかしながら全快ではなく、重いものを持ち上げる動きには依然として不安が残る。
  • 8/26 6:00頃: 出張の出発当日。やはりベッドから起きたときの痛みは弱くなってはいるが、10時間を超えるフライトを待つ身としては不安がある状態。飲み薬と坐薬を服用。
  • 8/27: 起床すると多少の傷みはあるものの普通に生活できる感じではあるが1日イベントなので念の為飲み薬と坐薬を服用。
  • 8/28: 起床したときの腰の痛みはないが、多少動くと響くような感じがあるため、飲み薬のみ服用。
  • 8/29: 起床したときの腰の痛みはなく、違和感もあまり感じない。飲み薬の服用もせず、10日ぶりにジムに行く。少し負荷をかけるとちょっと違和感があるので無理はせず、懸垂を数種目とゴブレットスクワットを軽く。
  • 8/30-31: 一日外出して歩いていると腰が妙にだるくなる。調べてみるとどうもぎっくり腰回復期特有のだるさのようだ。坐薬は使用せず飲み薬のみ服用。
  • 9/1-2: 帰国の日。12時間超のフライトで、フライト中に6時間程寝ると腰が硬く痛みを感じる。飲み薬を服用し、体を少し動かすと痛みがなくなった。

ぎっくり腰発症直後の病院の対応

巷には「整骨院鍼灸院に行ったらすぐ良くなった!」という話もあり、実際効果がある場合もあるのだろうけど、いわゆるぎっくり腰というのは俗称であり、実際には椎間板ヘルニアを含むさまざまな症状があるため切り分けが必要である。特にぎっくり腰が起きる腰椎は下半身の運動を司る神経が通っているため、迂闊に民間療法などを試みて後遺症が大きくなると目も当てられない。

自分も症状が起きた直後に痛い体をなんとか動かし、すぐに自宅周辺の整形外科の電話番号を調べた。しかしながらどこに電話しても予約でいっぱいで外来で行くしかない。今となっては笑える話ではあるが、電話越しに定形文で「外来で来ていただくほかありません。来ていただいた場合2-3時間お待ちいただくことになります。」と言われるたびに、仕方ないとは言え「激しい痛みに耐えながらも必死に電話してきた人間に対して返す言葉ではないだろう」とやり場のない怒りを覚え、それが3軒めともなるといよいよ社会保険制度まで含めた怒りに発展しかけた。

最後に電話した病院も同様の定型文を返されたものの、あまりの痛さに悶絶していたところ途中で整形外科の看護婦が電話で対応してくれ、さまざまにトリアージであろう質問をしてくれた上で、家にイブプロフェンがあることを伝えると、少しでも鎮痛作用があるのであれば服用してから外来に来ることを勧めてくれた。また来院したら窓口に言えば車椅子に乗れることも教えてくれたのも大変ありがたかった。やり取りとしては1分程度だったが、こうしたやり取りがあるだけで病院に対する信頼度はまったく変わるものである。自分の仕事においても大変参考になる対応だった。

ボルタレン坐薬関連

ボルタレン坐薬が効くまでに掛かる時間

坐薬を入れるとトイレに行きたくなる。浣腸もそうだけれども、腸を刺激する行為を多少なりともするわけだから仕方がないといえば仕方がない。しかし、きちんと鎮痛剤の効果が発揮されるまで待たないと意味がない。したがってトイレを我慢することもあるわけだけれども、無意味に我慢をしたくないので調べてみた。

www.fpa.or.jp

こんな直球な質問あるかと思ったけど、検索する側としては助かった。40分待てば一応大丈夫そうだ。

健常男子による実験では、挿入後40分程度でほぼ吸収は終了するので、その時間の排便を我慢すれば効果が得られると推察される。挿入後早期(20~30分)で排便した場合、Cmaxは挿入後40分後に排出と同等であったが、AUCの低下やT1/2の短縮がみられたので、作用持続時間が短縮することが予想される。

ボルタレン坐薬の海外への持ち運び

最初の病院で処方された鎮痛剤は飲み薬と坐薬の2種類、2回めの病院では坐薬のみの処方だった。この両者で処方されたボルタレン坐薬(ボルタレンサポ)は非常に強力な鎮痛剤であると同時に、これがあるおかげで起床後の痛みから解放され、人間的な行動ができるようになる。痛みは抑えられているとはいえ無理な活動をすることは勧められることではないが、海外出張ということであれば仕方がない。しかし現地で痛みで活動ができないのは残念というほかないため、この坐薬を携行して備えたくなるのが人情である。特にボルタレンサポ50mgはてきめんの鎮痛効果を見せるため、某界隈では「人権」と呼ばれている。

ところでここで問題がある。坐薬は体温で溶けて吸収されるようになっており、場合によっては外気温で溶けてしまうため、冷蔵保存を求められる。しかし海外出張にこれを持っていくとなると、飛行機でも運べる冷蔵の手段を考えなければならない。たとえば日本の航空会社2社では次のように冷蔵に関しては搭乗者自身で手段を講じることと記載している。

機内にはお薬を冷蔵できる設備はございません。ご自身で保冷容器をご準備ください。

機内では薬剤のお預かりや冷蔵はできません。ご自身で保冷容器等のご用意をお願いします。

したがって保冷容器を確保する必要がある。*1家にはピクニックなどで使う簡単な保冷バッグしかないので、もっと保冷機能が強いものが必要だ。そこで次のサーモスのスープジャーを購入した。

スープジャーの中に坐薬を入れ、さらに周りを凍らせた保冷剤で囲んでなるべく低温で運ぶ作戦である。持ち込みの手荷物で運ぶことを想定しているため、保冷剤は100ml以下のもので小分けされているものを使う必要がある。(国際線の規則で100mlを超えるジェル・液体の持ち込みは禁止されている)スープジャーの中に保冷剤を入れていくため、保安所で保冷剤を破棄するよう指摘される可能性があるが、その場合に備え一応保安所を通過するためだけに保冷剤だけ取り出せるようジップロックを持っていく。(液体はジップロックで見えるようにすることが求められる可能性がある。)また最悪保安所で保冷剤の破棄をすることになっても、出国さえしてしまえばラウンジや機内で氷は手に入るため、再冷蔵は可能であろう。*2

実際にこの方法で朝6:30に家を出て、日本時間24:00にホテルの冷蔵庫に坐薬を移すまでおよそ17時間半手荷物のバックパックに入れて運んだ。懸念していた保安所での検査は成田では事前に「ここに要冷蔵の薬を保冷剤と一緒に入れています」と申告したら、普通のX線検査をしただけで特に中を開けて確認をされるようなことはなかった。

写真はホテルに着いた直後のものだけど、容器内下側に見えるものは家で冷凍したジェルの保冷剤で、上半分は機内で溶けた保冷剤と置き換えたもらった氷。見ての通り、氷は形をしっかりと維持している。確認した限り、機内でもらったときとほぼ大きさは変わっていない。

帰りが厄介で、ホテルの冷蔵庫には冷凍庫がないため、行きに使った保冷剤を再度凍らせることができず、とりあえず空港まではホテルの氷ベンダーで氷を詰めてから行った。保安所前で氷を捨ててから保安検査を通って出国、その後適当に氷をもらって詰め直すという感じで乗り切った。帰りの機内でも溶けた水を切って氷を1度足して、あとは普通に帰宅。ホテルを出てから20時間程度は経過していたが、保冷剤でない普通の氷でも持ち運べることがわかった。以下は帰宅直後に冷蔵庫に入れる直前の写真。

鎮痛剤の現地(アメリカ)での入手に関して

確認した場所がシカゴの特定のWalgreensとCVS Pharmacyだけだったので、あくまで一例としての参考程度にしてもらいたいが、鎮痛剤の棚を確認してもほとんどがアセトアミノフェンイブプロフェン、ナプロキセン、アスピリンのどれか。*3 同じ非ステロイド系消炎鎮痛剤とはいえ、ボルタレンが該当するジクロフェナク系の鎮痛剤は置いていなかった。

インターネット上で確認しても、アメリカでも入手には処方箋が必要なようだ。

www.drugs.com

Both diclofenac and ibuprofen are available in various strengths. In the USA only the lower strength tablet ibuprofen 200mg is available OTC, the 400mg and 600mg tablets are prescription medicines. Diclofenac is only available by prescription in the USA but in some countries a lower dose 25mg tablet is available OTC.

感想

ぎっくり腰は最悪だ。しかし椎間板ヘルニアではない、いわゆる一般的な「ぎっくり腰」であれば、おおよそ4日-1週間程度で日常生活はできる程度に回復するという情報は実際に体感できた。

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回復までの経過図
(図はこちらのサイトより https://www.shimon-c.jp/indication/lbp-acute/

先達が口を揃えて「クセになるぞ」と脅してくるので、非常にストレスがたまる。しかし一度経験するとどのような経過をたどるのか、おおよそ想像できるようになるので、次回なってもストレスは今回よりは少ないだろう。もっとも二度とならないのが一番良いのだが。

参照

*1:ネット上で調べてみると外気温でも溶けなかったし大丈夫だ、というような体験談も見かけたが、万が一ダメだった場合は業務に致命的な影響を及ぼすため、安全のために極力冷蔵する方向で検討した。

*2:購入後にスープジャー内に氷だけ詰め32℃の屋外に放置し5時間後に取り出してみたところ、ほぼすべて氷が溶けずに残っていた。

*3:アスピリンは前者3つに比べると少ない